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毎年110万円の贈与、効果が薄れていく? 2027年から始まる“持ち戻し期間”の延長

(2026年11月掲載)

あおばコンサルティンググループ代表 田口 豊太郎(税理士)

こんにちは。税理士の田口です。

今回のメールマガジンでは、毎年110万円の非課税枠を使って、お子様やお孫様に贈与をされている方に関係する改正についてお話ししたいと思います。「贈与税がかからないから安心」と思われている方も多いのですが、来年(2027年)から、その効果が少しずつ薄れていくことになります。

1.「持ち戻し」とは?
亡くなる直前に行った贈与は、相続財産に足し戻して相続税を計算することになっています。これを「生前贈与加算(持ち戻し)」といいます。これまでは、この期間が「亡くなる前3年以内」でした。

2.何が変わるのか?
令和5年度の税制改正で、この期間が「3年」から「7年」に延長されました。対象となるのは、2024年1月1日以降に行った贈与です。
実際の期間は、2027年1月以降に発生する相続から、次のように段階的に延びていきます。

・2026年12月までの相続:3年(従来通り)
・2027年1月〜2030年12月の相続:2024年1月1日までさかのぼる(3年超〜7年未満)
・2031年1月以降の相続:7年
なお、延長された4年分の贈与については、合計100万円までは加算しなくてよいことになっています。

3.具体例で見てみると
たとえば、2024年から毎年1月に、長男へ110万円ずつ贈与していたお父様が、2028年6月にお亡くなりになったとします。
従来のルールであれば、持ち戻すのは3年以内の3回分(330万円)だけでした。

改正後は2024年と2025年の2回分(220万円)も対象になり、そこから100万円を差し引いた120万円が加わります。
結果として、合計450万円が相続財産に足し戻されることになります。
「せっかくコツコツ贈与してきたのに」というケースが、今後は増えてくると思われます。

4.今後できる対策は?
(1)早めに始める

持ち戻しの対象は最長で7年です。贈与を始めるのが早いほど、加算されない部分が多く残ります。

(2)相続人以外への贈与を活用する
持ち戻しの対象になるのは、相続や遺贈で財産を受け取る方への贈与です。そのため、お孫様やお子様の配偶者への贈与は、原則として対象外となります。ただし、生命保険金の受取人になっている場合などは対象になることがありますので、ご注意ください。

(3)相続時精算課税の「年110万円」を検討する
2024年から、相続時精算課税にも年110万円の基礎控除ができました。この枠の範囲内の贈与は、持ち戻しの対象になりません。ただし、一度選択すると暦年贈与には戻れませんので、慎重な判断が必要です。

いかがでしたでしょうか。
毎年の贈与は、今でも有効な相続対策のひとつです。ただ、これからは「いつ、誰に、どの制度で贈与するか」がより重要になってきます。
ご家族の状況によって最適な方法は異なりますのでお気をつけください。
ではまた。