Breadcrumb navigation

75歳からの医療費が増える!? 金融所得をめぐる法改正の動向について

(2026年9月掲載)

あおばコンサルティンググループ代表 田口 豊太郎(税理士)

 

こんにちは。税理士の田口です。

今回は、改正が予定されている医療保険制度について、主に75歳以上の後期高齢者の方に関わる内容を簡単にご説明させていただきます。

(これまでの取り扱い)

ご存じの方も多いと思いますが、これまでは上場株式でどれだけ利益が出ても、特定口座(源泉徴収あり)の譲渡益や配当はすでに税金が天引きされているため、確定申告を「してもしなくてもよい」所得でした。

もちろん、「他の口座の損失と相殺して還付を受けたい。」といった理由で、あえて申告することもできます。ただしその場合、その利益は翌年の後期高齢者医療保険料(国民健康保険料・介護保険料も同様)の算定対象に加わります。申告しなければ保険料に一切影響しなかったはずの所得が、申告した途端に保険料を押し上げ、「数万円の還付を受けたら、保険料はそれ以上に増えてしまった」という例は決して珍しくありません。

また、株式の損失は、確定申告をしておけば3年間繰り越し、翌年以降の利益と相殺できます。例えば前年の損失200万円で今年の利益200万円を相殺すれば、所得税・住民税はゼロ。ところが保険料は、繰越控除を差し引く""200万円を基準に計算されます。税務署には「差引ゼロ」と認められても、自治体からは「利益200万円の人」と判定され、税金はゼロなのに保険料だけが上がってしまうのです。繰越控除は毎年続けて申告しないと使えず「申告しない」という回避も取りづらいため、医療費の窓口負担割合まで上がることがあり、特に注意が必要な部分でした。

 

(今後の取り扱い)

これまでは、確定申告をするかどうかで医療・介護の保険料や窓口負担の水準が変わるという、不公平な状態が生じていました。今回の改正は、この点を見直し「金融所得を社会保障の負担に反映させる」という考え方を取り入れるものです。つまり今後は、申告不要を選んでいても、上場株式の配当や譲渡益が保険料の算定に反映される方向になります。さらに将来的には、現役世代にも同様の考え方が広がる可能性も否定できません。

 

(今からできる対策)

では、どのような備えが考えられるでしょうか。例えば——

NISAの非課税枠を活用するNISA内の利益は非課税で、そもそも保険料の算定対象になりません。年間最大360万円、生涯で1,800万円まで投資が可能)

株式を売却するタイミングを分散する(売却益が出た翌年の保険料が上がるため、一括ではなく数年に分けて売却し、1年あたりの利益を抑える)

といったところでしょうか。

このほか、保険商品や不動産など金融資産以外での資産形成も、状況によっては選択肢になります(ただし不動産の売却益などは別途、保険料に影響する場合があるため、事前の試算が欠かせません)。

今後も具体的な情報が入り次第、皆さまにご案内してまいります。では