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他人事ではない、相続登記を失念した場合のトラブル

(2026年5月掲載)

あおばコンサルティンググループ代表 田口 豊太郎(税理士)

 

こんにちは。税理士の田口です。

今回は、「相続登記を失念していた場合のトラブル」についてお話ししたいと思います。「不動産の名義変更はそのうちやればいいかな。」こう思われている方も多いのですが、その後回しが思わぬ負担につながったケースがあります。

先日もお父様がお亡くなりになった方からご相談をお受けしたのですが、1点問題が出てきました。それは、「実家の不動産の名義がお父様ではなく祖父のままになっていた。」という点です。よくお話を伺うと、祖父が亡くなった際に相続登記を行っておらず、そのまま何十年も経っていたという状況でした。

■ 何が大変だったのか?

本来であれば、お父様の相続だけを考えればよいのですが、名義が祖父のままですので、まずは「祖父の相続」をやり直す必要が出てきます。

その結果、(1)祖父の相続人(叔父・叔母など)も含めた遺産分割のやり直し、(2)連絡が取れない親族の調査、(3)古い戸籍の収集など、手続きが一気に複雑になります。

ご本人も「父が実家を相続したはずだ。」とおっしゃるのですが、「遺産分割協議書」もなく、それを証明する手立てがありません。

ご本人も「こんなに大変になるとは思わなかった。」とおっしゃっていました。

■ 今回の法改正とどう関係するのか?

こうしたケースが全国で増えていることを背景に、令和64月からは、相続登記が義務化されています。相続によって不動産を取得した場合、3年以内に登記をしなければならないことになりました。また、過去の相続についても対象となるため、昔の話だから大丈夫というわけではありません。

■ 放置しないことが一番の対策

今回のケースでも、祖父が亡くなった際に相続登記をしておけば、ここまで複雑にはなりませんでした。相続登記を放置すると、(1)相続人が増えて話し合いが難しくなる、(2)手続きに時間と費用がかかる、(3)次の世代に負担が残る、といった問題が起きやすくなります。

■ 今できること

「うちは大丈夫かな?」と思われた方は、まずは不動産の名義が誰になっているかを確認してみてください。もし、亡くなった方の名義のままになっている場合は、早めに対応を検討されることをおすすめします。

すぐにすべての手続きを終えるのが難しい場合でも、「相続人申告登記」といった簡易な方法もありますので、専門家に相談しましょう。

相続登記は、「後でやろう。」と思っているうちに、どんどん大きな負担に変わっていきます。今回のご相談のように、「親の相続のつもりが祖父の代まで遡る。」ということも珍しくありません。少し早めに動くだけで、ご自身だけでなく、ご家族の負担も大きく減らすことができます。この機会に、一度ご自身の不動産の状況を確認してみてはいかがでしょうか。ではまた。