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高額療養費制度の見直しに関して
石井 裕之
(CFPファイナンシャル・プランナ-)
こんにちは。FPの石井裕之です。
高額療養費制度とは、ご存じのとおり、毎月の医療費が一定額以上になった場合に、超えた分を公的医療保険が支給してくれる制度ですね。窓口での都度の支払いが増えたとしても、上限額があるので安心できます。
この高額療養費制度、改正案が昨年衆議院で可決されたものの、患者団体の声などを受けて成立見送りになりました。その後改めて厚生労働省の専門委員会で検討され、見直し案が取りまとめられています。
背景には医療費・社会保障費の増大と現役世代の重い保険料負担があり、「応能負担」を強めるべく、「負担上限額の引き上げ」と「所得区分の細分化」を検討の軸としています。後者について、厚生労働省HPでは「年収約370万円の方と年収約770万円の方が同じ区分に整理され、限度額も同じ取扱いとなっている」と問題点が指摘されています。
見直しのスケジュールは、まず本年8月から月ごとの上限額を引き上げ、次に2027年8月から所得区分を細分化して、高い区分の上限額をさらに引き上げるとのことで、廃案となった改正案よりは引き上げ幅が縮小されるようです(すなわち医療財政の改善効果もそれなりに)。ほかに多数回該当や外来特例の見直し、住民税非課税世帯への配慮なども挙げられています。
しかし本当に8月から実施するためには、3月くらいには決まっている必要があります。ところが本稿執筆時点では衆議院解散が取りざたされており、となると、各党の公約や選挙後の国会構成により、具体的な内容は流動的ということになります。その意味では今回のテーマは時期として適切とは言い難いですが、あえてとりあげたのは、2点ぜひお伝えしたいことがあるからです。
1つは、特に高齢者について、いずれにせよ負担増は避けられないということ。健康保険制度の破綻を避けたいのは各党とも、たぶん同じでしょうから。
ここで特に要注意なのは、現役時代に収入が多かったにもかかわらず、あまり貯えがない人。たとえば高いマンションを購入して多額の住宅ローンを支払っていた場合などにありそうですが、このケースだと、老後は年金が多いので(ゆえに大丈夫との思いなのでしょうが)、医療費が現役並みの3割負担になったり、保険料も高額化してしまう恐れがあります。貯蓄が多ければ取り崩しで賄えますので、老後に向けた資産形成を真剣に考える必要があります(誰しもですが、とりわけ)。
もう1つは、自助努力としての(民間)医療保険加入の重要性がさらに増すこと。医療保険についてはFPの間でも分かれており、不要との意見も少なくありません。たとえば1日あたり10,000円の保障で30日間入院すると、30万円の給付金が受け取れますが(手術は別途)、ならば30万円の貯蓄があれば足りるのではないかという理由で、確かにそうともいえます。
ですが、私は(実際の入院経験も考慮して)、それは算数的には合っているものの、人間のメンタル面を軽視している気がします。実際に入院したとき、貯蓄がじりじり減るのは心細いのではないか、保険という別の蛇口があることが心理的に安心なのではないか、と思うからです(貯えが十分ある人はともかく)。純然たる損得でいえば、加入しない方が結果的に得策だったというケースはあるでしょうが、よく「保険はお守り」といわれるように、寺社仏閣のお守り同様、安心感が得られる効用も大きいのではないかと思う次第です。
医療保険にも様々あり、入院の短期化傾向に対応して通院保障を充実させた商品なども増えています。どれがご自身にふさわしいか悩まれている方は、ぜひプロにご相談いただければと思います。
それでは、また次回。
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