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金とダイヤモンド

(2026年8月掲載)

石井 裕之
(CFPファイナンシャル・プランナ-)

こんにちは。FPの石井裕之です。

金とダイヤモンド、どちらも輝きに魅せられる方は多いことでしょう。ただし資産価値という点では、この両者には大きな違いがあります。

まず金については、資産価値の保全効果は十分に期待できます。たとえば金の延べ棒を購入し、直後に買い取りショップ等に持ち込んでも、ほぼ同じ値段がつくことでしょう。長期的な値上がり益も、過去データからは十分に見込めます。

ただし2025年12月号の本メルマガでも触れたように、すでに技術的には金の人工生産が可能となっています。短期的な価格への影響はないでしょうが、一応気に留めておかれても良いかと思います。

これに対して、ダイヤモンドは買った瞬間に値下がりし、モノによってはなんと9割の下落だとか。となると資産価値は1割にすぎず、資産価値の保全効果は期待薄となります。

なぜそんなことになるかというと、今でもデビアス社の影響力が大きいためです。

同社は20世紀後半まで世界のダイヤモンド原石の80~90%を支配し、かつ生産者組合や貿易会社、販売網を組み合わせたシンジケート構造を構築して供給量を調整していました。とともに、「ダイヤモンドは永遠の輝き」などのイメージ戦略で、価格のコントロールもしてきました。「婚約指輪は給料の3か月分」も同社のマーケティング戦略のひとつで、明確な根拠不明にもかかわらず、今でも根強く信奉されているようです。

現在は、同社の支配が及ばない産地(ロシア、オーストラリア、カナダ、中国など)からの供給量が増えたためにシェア30%程度に落ちたようですが、依然として価格への大きな影響力は維持しています。

また、金以上にダイヤモンドの人工生産技術は進んでおり、とっくに流通もしています。私などは、本物と人工の輝きの違いを見分ける自信など、全くありません(笑)。

ところで、読者の皆さまの中には、ご子弟やお孫さんなどから、婚約者に贈るダイヤモンドの購入資金について、相談を受ける方もいらっしゃるかもしれませんね。一生に一度のことだからと、ついサイフのヒモが緩みがちでしょうか。

通常であれば、買ったとたんに9割も値下がりするかもしれない高額商品など、手を出さないでしょう。しかし、デビアス社に洗脳されている(?)婚約者から誠意を疑われるのも困るし、どうしたものかと悩まれた場合には、東京の御徒町で購入するように勧めてみてはいかがでしょうか。御徒町には宝飾・貴金属関係の問屋や小売、材料パーツ屋や工具屋、ケース屋などが集積していて、普通に買う価格の半額以下になる場合もあります。地方からでも、東京観光かたがた足を運ぶ価値はあるかも。

もしもティファニーやハリー・ウィンストンのようなブランド品を贈りたいと言われたら、同じ予算で、もっと大きなダイヤが買えるよと説得してみてはいかがでしょうか。ブランド品は、そのブランドの価値まで価格に上乗せされるので、資産価値はさらに少なくなります。どうしてもブランド品にこだわるというのなら、金の指輪にすれば、価値保全効果という点でははるかに優れています。

「いや、資産価値ではない、一生に一度の記念なのだから」ということであれば、特に申し上げることはありません。ただ、もし「給料の3か月分」を、いざという時の生活費の意味合いと思っているとするなら、大いなる誤解の恐れがあります。そもそも高価なものは手にした瞬間が幸福感のピークで、以降時間の経過とともに下がるので、これから始まる結婚生活を考えると、ちょっと冷静な目もあった方がよいのではと思う次第です。

それでは、また次回。