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連載コラム ある変革実践リーダーの荒波奮戦航海記 ~海図のない海をすすむ~
若林 健一
第19回 言ったもの勝ちこそ時代のトレンド?AI時代に必要なスキルの磨き方とは
AI時代において最も必要になるスキルは何か?
私がよく聞かれる質問だ。
その度に私はこう答えている。
「問い(仮説)を立てる力」と「それ(仮説)を検証し、カタチにしていく力」
この二点であると。
なぜこの二点が大切なのかは以前のコラムで書いたので、そちらを参照頂くとして今回はこのスキルの磨き方について二回に分けて述べさせて頂こうと思う。
他人に正解を求めにいかない

「問い(仮説)を立てる力」を磨くために、重要なポイントの一点目は他人に正解を求めないことである。そもそも、誰か他の人が正解を持っていると考えている時点で、「問い(仮説)」は立てられない。自らが頭で考え、自分の立てた仮説が正しいかを、周囲にぶつけて検証していくというスタンスが重要だ。
近年業績を急上昇させていることで注目を浴びている、ある企業の経営幹部の方がインタビューで、従業員に対して「自分の言っていることの50%は間違っていると思って聞いて欲しい」と話されていた。
実に素晴らしいメッセージと思う。上司が答えを持っていると思われていては、答えを聞きに来るスタイルの部下しか育たない。何事も自分で考え行動し、上司にその仮説をぶつけていくような人財を多く産み出すことが、これからの企業の競争力の源泉になることは間違いないだろう。
さらにいうと他者から与えられた問題の正解を解きに行くスタイルでは、レッドオーシャンに突入する可能性が高い。既定のものさしの中で戦うことになってしまい、解き方の速さやコストで上位に来るもの以外は生き残れない世界になる。人間だけでも過当競争な上に、さらに最近ではAIもライバルとして登場するようになってきた。
「誰かが正解を持っている」「与えられた問題の正解を解きに行く」といった思考を捨てること。これがまず初めのステップだ。
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(前回のコラム)