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連載コラム ある変革実践リーダーの荒波奮戦航海記 ~海図のない海をすすむ~

若林 健一

第17回 弱みを見るな!後輩のひとことで気づかされた事とは?

2020年12月2日

なぜ強みを伸ばすことが重要か

「弱みは目をつぶれ。その人の強みを伸ばせ」

私がチームのパフォーマンスを最大化する上で大切にしている考えである。
どうしても弱みの改善に目が行きがちだが、私は弱みの改善より、強みを伸ばすアプローチを取っている。尖った強みを組み合わせる方が、チームとしての価値面積が大きくなると考えているからだ。弱みを改善させるアプローチを取ると、どうしても標準的な方向に丸まってしまう。その結果、尖りが無くなることで価値面積が萎んでしまう傾向があると感じている。

当然、最低限のビジネス行動様式を身に付けてもらうことは大前提の上での話であるが、弱みを改善させようとすると強みが潰れてしまう可能性がある。強みと弱みはある意味、表裏一体であるからだ。これは私がかつて行っていたスポーツの世界で感じていたことでもある。一流と呼ばれる選手の特徴として、周囲から矯正されずにその人に合ったフォームをそのまま活かしたといったケースが多い。トルネード投法や振り子打法など、本人のオリジナリティーを潰すような指導者の下では決して日の目を見なかったことだろう。

また弱みより強みを伸ばすという方針を取っているのは変化が激しいといった時代背景も大きく影響している。とにかくスキルの陳腐化が早い時代なのだ。ある時点で身に付けたものが5年後には役に立たないといったことがざらに起こる。好きでもない弱みを改善させることと、強みや興味がある領域を伸ばすこと。同じ時間で早く身に付けられるのは間違いなく後者だろう。それ故、身に付けたものを活かせる時間的アドバンテージも稼げる。

 

改善しなくてはならない弱み

ここまで弱みより強みといったことをお話して来たが、ただ一点だけ改善を要求する弱みがある。それは他者をリスペクト出来ない弱みである。

なぜなら、違う専門性を持ったメンバーでプロジェクトチームを組むため、他者をリスペクト出来ないとお互いの弱みばかりに目が向いてしまい、チームとして機能しないからだ。

私たちは全員で守って全員で攻めるといったことはしない。それぞれの担当領域において最大限のパフォーマンスを出し、弱みの領域は思い切って人に任せる(もしくは機械化させる)。自分の専門性が他のメンバーの助けになる様だったら、積極的にヘルプの姿勢を見せる。こういった行動様式を大切にしている。

そしてこのようなチームを実現するには、自分の弱み、つまり何を不得手にしているのかをお互いに開示しておくことが重要で、それを糾弾するようなカルチャーでは決して機能しない。自分に出来ない部分があっても、絶対に他のメンバーがカバーしてくれる、そういった安心感があってこそ自分の強みを磨くことが出来るのだ。

つまり他者へのリスペクトというのは私たちのチームにとって最も大切な生命線であり、これなくしてはチームが存在し得ないというレベルのものなのである。

私たちはチーム設立以来、試行錯誤を繰り返し、方針も幾度となく修正を重ねてきた。

しかし、

強みを伸ばすこと。
そして他者をリスペクトすること。

この二点は設立以来、一切修正を入れていない。

それだけ私たちが最も大切にしてきたカルチャーなのである。

執筆者プロフィール
若林 健一
NECマネジメントパートナー株式会社
業務改革推進本部所属
1980年 生まれ
2002年 NEC入社
2018年 NECマネジメントパートナーにて高度化サービス開発チームを設立
経営管理・人事・マーケティングを中心に、データアナリティクスとAIを活用した NECグループの経営高度化について、2年間で200プロジェクト実施
NEC Contributors of the Year2019など数々の賞を受賞
執筆者:若林 健一