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連載コラム ある変革実践リーダーの荒波奮戦航海記 ~海図のない海をすすむ~
若林 健一
第6回 経験の浅さはリーダーにとってマイナスなのか
経験の浅いリーダー
「自分に、この役が務まるのだろうか……」
チーム設立当時の偽らざる私の本音だ。
前々回のコラムで書いたように、経営トップの後押しもあり、2018年4月、私たちのチームは正式に発足した。当時私は管理職に昇格して2年目。15名のメンバーが集まった新組織において、経験の浅い自分にリーダーが務まるのか、正直不安な気持ちでいっぱいだった。
しかし私以上に、メンバーの方が不安だったはずだ。まだ何者になれるかもわからず、どんな成果を出せるかもわからないなか、新しい可能性にかけて、飛び込んできてくれた大切な仲間たち。その思いを踏みにじる訳にはいかない。「このメンバーとともに新しい時代を創りたい」。自らを叱咤激励しながらの活動開始だった。
試行錯誤を繰り返しながら、自分なりのチーム立ち上げ方法を模索する毎日。
当初は自分の「経験値のなさ」をマイナスに捉えていたのだが、経験豊富な中西や直属上司が裏でサポートする姿勢を示してくれたおかげで、徐々に私のマインドが変わっていった。
具体的には以下二点を意識して、チームを立ち上げていったのだ。
その1. メンバーには、自信を持って語るべし
私のチームのミッションは、「AI・アナリティクスを軸に顧客企業(主にNECグループ)の経営を高度化させること」である。
この方針を明確に、自信を持って伝え続けた。
不安な気持ちを持つメンバーを前にして、リーダーが「上から言われてしかたなくやっています」や、「成功するかどうかはわかりません」といった態度を取っていては、チームのモチベーションは上がるはずがない。
たとえ演技でも、リーダーは「自分たちは絶対に価値のあることをやっている。おれたちは絶対に強くなれる」という態度を示さなくてはならないのだ。ちなみに当時から私は嘘偽りなくそう確信していた。
その2. 自ら体現して熱源となるべし
方針を示したあとは、実現に向けて自らが熱源となった。
新しいことへの挑戦は、大抵多くの困難が待ち構えており、強い熱量がなければ実現できないものだ。
当時「スピード感」や「実行力」を重視していたこともあり、自らチームの目指す姿を熱量高く体現した。私自身がスピード感のない進め方や、腰の重い態度で仕事をしていれば、そのスピード感、レベル感でよいとメンバーにメッセージを送っているも同然だ。
新規事業を行うチームには比較するものさしがないため、リーダーの行動の一つ一つがチームの尺度やレベル感を決めてしまう。
リーダーの熱量なくしてチームに熱量はうまれないのだ。
(前回のコラム)