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連載コラム ある変革実践リーダーの荒波奮戦航海記 ~海図のない海をすすむ~

若林 健一

第4回 会社員でも「好き」を仕事にできる?これからの仕事のあり方とは

2020年5月25日

成果が出なければ後はない。準備室の発足

中西から声をかけられた1か月後となる201710月、各事業部から有志的に人を集め、チームを発足させた。中西から「この半年の成果をもって、正式に組織として立ち上げるか判断する」と言われており、まさに準備室チームとしての発足だった。

どの新しい組織も最初にこのハードルにぶちあたると思うが、私たちの最初のハードルも「ヒト集め」だった。
当時は「会社の方針で決めたことなのに何で人を出してくれないのか」と不満に思っていたが、これは完全に私の傲慢な考えであった。周囲が認めてくれる実績を出してこそ、人は集められるもので、その努力なしに「ヒトが集まらない」と不満を言ったところで、それはただの実力不足に過ぎないのだ。

そうは言ってもある程度人が揃わないと活動がおぼつかない。そこで私は、スキル不問で「データが好きな人」「新しいことへのチャレンジが好きな人」という条件で人を集める方法をとった。いわゆる挙手制である。その結果、専任者は私を入れて2名、通常の業務を持ちながら有志的に集まったメンバー5名の、総勢7名で準備室を発足させた。

今振り返ってみると、この集め方が意外にハマった。
元々好きで集まったメンバーであるから、目を輝かせて活動に取り組み始めたのだ。この現実を目のあたりにして、いままでの私の考えが変わっていくことになる。

「会社員」でも「好き」を仕事にできる

私はこのチームを創るまでは、好きなことを仕事にできるのはスポーツ選手や芸能人など一部の限られた人だと思っていた。

しかし挙手制によって構成されたメンバーの活動ぶりをみていると、NECのような老舗大企業の中でも、好きなことを自分で見つけ、仕事にすることが可能なのだと実感した。

自分自身を例にとっても、単純に好きだからしているという感覚のため、世間一般でいうところの「仕事」という感覚はあまりない。
好きなこと、熱中できることでこそ、人のパフォーマンスが最大限に発揮されるというのは、私が学生時代取り組んでいた陸上競技での経験に立脚している。スポーツの世界で一流になるにはそれ相応のハードトレーニングが必須で、多くの一流選手は「好き」という気持ちに支えられ、自主的に過酷な練習に取り組んでいる。
人から言われて嫌々やっていているようでは、メッシやC.ロナウドになれるはずがないのだ。

スポーツの世界にいた時に確信していた持論が「会社員」という世界においても、今目の前で起こっている。私はその現実がただただ嬉しかった。