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連載コラム ある変革実践リーダーの荒波奮戦航海記 ~海図のない海をすすむ~

若林 健一

第24回 なぜ練習をするのか。「練習の虫」は実は私の悪癖だった

2021年3月18日

DXは手段

データ分析の世界においては手段の目的化は良く起こる問題だ。特にAIなどの先端技術の活用については、活用すること自体が目的化してしまう傾向がある。

「AI使って何か出来ない?」
「データが沢山あるから、ここから分析して何か良い示唆出してよ。」

こういった声がかかることが実に多い。
分析と言うのは手段であって目的ではない。何か改善したい内容や達成したい目標を実現させるために使うものである。分析をきっかけに何か実際のアクションが生まれ、ビジネス的な価値が創出されてこそ始めて価値となるのである。

DXについても同様だ。DXの必要性が叫ばれるようになって久しいが、DXは手段であるというのが私の見解である。企業としてどんな価値を世の中に提供し、どんな世界を創りたいのか。そういったことから逆算して強力な道具であるデジタル技術を使っていくのだ。そして道具は目的に沿った使い方をしなければ本来の役目を果たせない。

パンを切りたいのに電動のこぎりを使う人はいないだろう。
東京から横浜に行きたいのに飛行機を使う人もいないはずだ。

どちらも「切る」「移動する」といった手段においてはトップレベルに強い道具だが、目的に合っていなければ役に立たない。そんなことする訳ないと思われるかも知れないが、現在DXの状況では結構これと同じくらい滑稽な道具の取り違えが起こっている。

私たちのようなDXを支援・推進することが直接的なミッションのチームでは、これを目的と捉えがちである。しかし顧客の先を見据えて

顧客が成し遂げたいことは何なのか。
何のためにDXするのか。
それが社会にどんな価値を産むのか。

こういったことを常に考えていなければならない。
そうでなければ目的と手段が逆転してしまい、真の顧客価値・社会価値創造は出来ないからだ。

社会課題や顧客課題に常にアンテナを張り目的を見据える力

これこそDX時代に価値を産み出すために最も必要な素養であり、この力を絶えず持ち続けていられる集団でありたいと思っている。

執筆者プロフィール
若林 健一
NECマネジメントパートナー株式会社
業務改革推進本部所属
1980年 生まれ
2002年 NEC入社
2018年 NECマネジメントパートナーにて高度化サービス開発チームを設立
経営管理・人事・マーケティングを中心に、データアナリティクスとAIを活用した NECグループの経営高度化について、2年間で200プロジェクト実施
NEC Contributors of the Year2019など数々の賞を受賞
執筆者:若林 健一