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連載コラム ある変革実践リーダーの荒波奮戦航海記 ~海図のない海をすすむ~
若林 健一
第22回 弱気のバイオリズムに飲まれる日。救ってくれたメンバーの指摘とは?
弱気のバイオリズムに飲まれる日
「自分達のできていないところばかりに目が向いてしまう」
「目指す姿が、あまりに遠く感じてしまう」
チーム設立して2年目くらいから私の中にこんな感情が芽生えるようになっていた。
設立当初がむしゃらに駆け抜けてきた時期には出て来なかった感情だ。
チームとしてのステージが踊り場に差し掛かっていた時期でもあった。
認知度・実績も乏しく、「お前に何が出来るのか」という視線を感じる日々。
「自分達は本当に価値を発揮できているのか……」
「このままで理想のチームにたどりつけるのか……」
こんな思いがついよぎってしまう。
様々な企業をベンチマークする度に、自分達とのギャップに打ちひしがれてしまうことも
あった。普段強気で通っている私だが、人間年がら年中強気でいられるはずもない。
弱気のバイオリズムに飲まれる日だってあるのだ。
しかし、そんな気持ちを吹き飛ばしてくれたのは、他でもないチームのメンバーであった。
ある時、上司の木本がチームビルディングのワークショップを開いてくれたことがある。
「自分達の出来ているところ」と「あるべき姿とのギャップ」
この二点についてチームで話し合ったのだが、「出来ているところ」について、私が感じてない点をメンバーが数多く挙げてくれたのだ。そしてそれはカルチャー面での指摘が多かった。
・チャレンジしやすい雰囲気だと思っている
・オープンなチームであると感じている
そんな声を聞くことが出来、成果ばかりに目を向けてしまっていた自分の愚かさを反省した
メンバーは私とは異なる視点でチームの良さを認知してくれていたのだ
何に目を向けるかは考え方次第

自分達が出来ている点というのは本人達が気付いていない場合が多い。何故ならそれが自分達にとって当たり前の状態であり、当たり前の良さに気付いていない場合があるからだ。
例えば私たちは2020年4月の緊急事態宣言以降、現在(2021年2月)に至るまで
完全リモートワークで働いている。私たちにとってはこれが日常であるのだが、実は結構すごいことだということを他社の人から指摘されて初めて気づかされたことがある。
こんなことが実に多いのだ。
そして自分たちが出来ている点を認知できることは挑戦への大きな後押しになる。
なぜなら挑戦という行為は性質上、先が見えない状態に陥りやすいからだ。
そんな時に自分達がどこまでたどり着いたかを認知することは次の一歩を踏み出す上で非常に重要だ。そういった振り返りが無ければ、いつまで経っても到達出来ない心境に陥るだろう。
そして同じようなことがものの見方にも言える。
とにかく人間は足りていることより、足りていない点に目が行きやすいということである。
それ故、出来ている点に目を向けるには
ある程度「意識して目を向ける努力」が必要になってくる。
例えば1年目の新入社員の場合、確かに仕事の経験値は無いかもしれない。
しかし
「会社の常識に染まっていないものの見方が出来る」とか、
「足枷になるような成功体験が無い」
といった強みは持っているのだ。
単純に強みは弱みにもなるし、弱みは強みにもなる。要は考え方次第ということである。
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