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連載コラム ある変革実践リーダーの荒波奮戦航海記 ~海図のない海をすすむ~

若林 健一

第21回 人と違っていい。ある言葉との出会いがもたらした価値観の変化とは?

2021年1月27日

デジタルが産み出す、本質的な価値

「デジタルテクノロジーが産み出す価値の本質は、多様性を維持可能にさせてくれること」

これはデジタルテクノロジーで著名な大学の先生が言われていることで、私自身も非常に共感している考え方である。

どういうことか。

大雑把に言ってしまうと、今までは平均値の時代であったということだ。同質性の高い集団をつくり、コミュニケーションコストを下げることで高品質・低価格の大量生産を可能にさせた。その弊害として、平均値から外れる人々に優しくない社会システムが出来上がってしまった。

しかし今後データ・AIが高度に社会実装されるようになるとパーソナライズ化の世界に突入する。今までコストの関係上、平均値を元にした「マス生産」しか成立しなかった製品やサービスが、テクノロジーの進化により「個別生産」可能な世の中になるのだ。例えば、世界トップの動画配信サービスでは、既にドラマや映画のエンディングを個人の嗜好性に応じて変更させるといった取り組みを始めている。



つまりIoT、AI、AR/VR、5Gなどのデジタルテクノロジーの進化により、平均ではなく分散の時代になってくるということだ。その結果、皆が同じ方向を向く多数決的価値観は相対的に弱くなり、より社会が多様になる。だからこそ互いをリスペクトする気持ちが重要になってくると私は考えている。テクノロジーの使い方を決めるのはあくまで人間であり、このような進化を排除の方向につかってしまっては元も子もないからだ。

自分と異なるものを排除するのではなく、認め合う社会


このような社会を実現させるのが私の大きな夢だ。日々悪戦苦闘しながらも何とか頑張ることが出来ているのはこういった自分の夢に支えられている部分が大きい。デジタルテクノロジーの力を活用してこの夢を実現させることに全力を注いでいきたいと考えている。


執筆者プロフィール
若林 健一
NECマネジメントパートナー株式会社
業務改革推進本部所属
1980年 生まれ
2002年 NEC入社
2018年 NECマネジメントパートナーにて高度化サービス開発チームを設立
経営管理・人事・マーケティングを中心に、データアナリティクスとAIを活用した NECグループの経営高度化について、2年間で200プロジェクト実施
NEC Contributors of the Year2019など数々の賞を受賞
執筆者:若林 健一