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連載コラム ある変革実践リーダーの荒波奮戦航海記 ~海図のない海をすすむ~
若林 健一
第20回 石橋を叩き過ぎ?デジタル化がもたらす行動様式の変化とは。
石橋を叩いて渡るな
石橋を叩いて叩いて、叩きまくった結果、一歩を踏み出さない。
笑い話のような話だが、ビジネスの現場ではよくある話である。当然人の生命に関わることなど、慎重を期す必要がある場面においてはそういったアプローチが必要なこともある。しかし全ての場面においてそのような態度で仕事をしていると物事が全く前に進まない。
要は
石橋を叩き過ぎ
なのだ。
これからの時代は「山登りでは無く、川下りである」と、先輩が教えてくれたことがある。
綿密に立てた計画を基に進捗をはかりながら登山するのではなく、激流に流されながら、右に左に障害物を避けながら進んでいく。こういった思考・行動様式が求められるのだと。
そしてこの障害物を避けながら進む能力を身に付けるには、日頃、試行錯誤をどれだけ繰り返しているかが勝負の肝になってくる。日常的に行っていないことが急場で出せるはずはないのだ。
意思決定に良いも悪いもない

石橋を叩いて渡るタイプの人の共通点として、「良い意思決定を望む」傾向がありそれが課題だと感じている。私たちはデータやAIを使うことで意思決定の精度を向上させることを生業としており、矛盾した発言に聞こえるかも知れない。しかしデータから導き出してきた仮説を元に最終的に意思決定を行うのは人間だ。そして、意思決定を下すタイミングでデータが不足していることは日常的に起こる。それ故、最後は仮説を元に動く力がどうしても必要な場面があるのだ。
「意思決定に良いも悪いもない。行った意思決定を良いものにしようとするその後の行動こそ大切である」
これは、ある有名なコンサルティングファームの元会長が講演会で言われた言葉であり、私の行動指針にもなっている。
「正解を出すのではなく、下した決定を正解にさせる」
こういったマインドこそがこれからの時代には求められるのだと私は考えている。
生命科学の世界で言われることだが、試行錯誤の回数が多ければ多い程、その生命体が生き残る確率が高まるらしい。種として変化に強くなるからのようだ。「事業は人なり」である以上、これは非常に興味深い示唆ではないだろうか。
私たちはチーム設立以来、試行錯誤を繰り返す日々であった。最初は結果も出せず、苦しい日々が続いた。しかしその日々によって培われてきた試行錯誤の文化こそが私たちにとって、大きな強みになっていると私は確信している。
執筆者プロフィール |
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若林 健一
NECマネジメントパートナー株式会社 業務改革推進本部所属 1980年 生まれ 2002年 NEC入社 2018年 NECマネジメントパートナーにて高度化サービス開発チームを設立 経営管理・人事・マーケティングを中心に、データアナリティクスとAIを活用した NECグループの経営高度化について、2年間で200プロジェクト実施 NEC Contributors of the Year2019など数々の賞を受賞 ![]() |