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連載コラム ある変革実践リーダーの荒波奮戦航海記 ~海図のない海をすすむ~

若林 健一

第16回 上に潰されるは本当?挑戦する上での最大の武器とは

2020年11月16日

待ちの姿勢では日の目を見ることはない

VRの様な新規性の高い取り組みの場合、すぐ事業として立ち上げるのは難しい。周辺技術や市場の成熟度など自分達でコントロールできない部分にも大きく影響される。それ故、小出しに成果を上げ、それを愚直にアピールしていくという姿勢が重要だ。

私の場合、最初の顧客は人事部門であった。学生向けの採用活動に使用するということで案件 を獲得したのである。そしてこの取り組みがNEC内でも表彰された。こういったことをアピールし続けた結果、当初は難色を示していた中西も応援してくれるようになった。

現時点でもVR+データ活用のフェーズ迄はたどり着いたが、まだまだ現在進行形であるのが実態だ。超えるべきハードルも山の様に存在する。しかし完璧主義のようなアプローチで進めると、いつになっても成果が上がってこない。現時点で出来る精一杯のことを世に出し続け、フィードバックを貰いながら改善していく以外、道は無い。

そうした時に重要になってくるのが、ポートフォリオを組むという観点である。これは柱を複数持ち、着実に成果を出せる弾を用意しておくということだ。新しい取り組みの場合、当然リスクが大きいため、リスク幅を吸収できる別の弾を持っておくというのは非常に重要だ。私達は打席に立ち続け、高速かつ大量にOUTPUTを出し続けることで、成果が着実に刈り取れるものと投資的側面が強いもののポートフォリオを組むようにしている。この両輪を回すことこそ重要で、絶えず二の矢、三の矢を用意しておく必要がある。自分が成し遂げたいことを実現させるためには、あらゆる手段をやりつくすことが重要で、 待ちの姿勢では決して日の目を見ることはないのだ。

ワクワク感こそが最大の武器

以前、私が登壇したパネルディスカッションで、何か新しいことをやる時に反対勢力が出てきたらどうするかと言う話題になったことがある。いつもの調子で「人に何を言われようと、自分がやるから成功すると言うくらいのオーナーシップでやらなければ新しいことは成功しない」と持論を言ったら、会場が沸いた。

新しいことへの挑戦は周囲から理解されないことが多い。それ故、ある意味反対勢力が出るのは当たり前だ。上司がダメなら、その上、斜め上、横など賛同者を見つければ良い。今の時代はSNSやクラウドファンディングでマーケティングや資金調達を行うことも可能だ。瞬間的に上司をスルーしてプロジェクトを進める方法などいくらでもある。上司に承認されなければプロジェクトを進められないという考えは思考停止に過ぎないと思う。

しかし、こういった行動は自分がやりたいからこそ出来る行動様式であり、やらされ感のある仕事においてはこのような動きを取るのは難しい。子供が親に反対されてもTVゲームを止めないのと同じで、楽しいことは誰にどれだけ反対されてもやりたいものなのだ。

当たり前の話だが、楽しそうな人に人は寄ってくる。上に潰されたと嘆いていても人は寄ってこない。自分がワクワクしている姿を見せることこそ、人を巻き込む上で最大の武器になると私は信じている。

執筆者プロフィール
若林 健一
NECマネジメントパートナー株式会社
業務改革推進本部所属
1980年 生まれ
2002年 NEC入社
2018年 NECマネジメントパートナーにて高度化サービス開発チームを設立
経営管理・人事・マーケティングを中心に、データアナリティクスとAIを活用した NECグループの経営高度化について、2年間で200プロジェクト実施
NEC Contributors of the Year2019など数々の賞を受賞
執筆者:若林 健一