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連載コラム ある変革実践リーダーの荒波奮戦航海記 ~海図のない海をすすむ~

若林 健一

2020年11月16日

第16回 上に潰されるは本当?挑戦する上での最大の武器とは

上に潰されるは本当?

前回コラム では「打席に立つことの意味」をお話ししたので、今回は「新しいことへの挑戦」の切り口からお話ししたいと思う。

「新しいことをやろうとすると上に潰される」という言葉をよく聞くが本当に潰されているのだろうか。思考停止に陥っているだけということはないだろうか。

上司に反対される。許可が降りない。

こんな時、あなたはどのような行動を取っているだろうか。

アナリティクスチームがなぜVR?

上司からの反対。これはVRを始めた時の出発点だ。

「ヘッドセットが重い」「酔う。気持ち悪い」「まだ時代性から見て早過ぎる」

VRのデモを見せた時に中西からもらったコメントだ。結果は撃沈。一蹴された。

事の発端はチーム設立時まで遡る。社内向けの社長メッセージを確認していたとき、これからのテクノロジートレンドという箇所に、5G時代におけるVR/AR/MRを活用した新しい働き方という記載を見つけた。元々、私はVR自体に詳しい訳では無かったのだが、何故か惹かれる部分があり、NECでVRを担当している部門に話を聞きに行った。


私はそこで紹介されたVRのデモの素晴らしさにすっかり魅了され、先の上司へのデモに至ったという訳である。


私達のチームは元々アナリティクスが目的で集められた組織なのに何故VRなのかと、散々周りからも言われた。その当時、VRの世界にはまだコンテンツ色が強く、アナリティクス要素はあまり入っていなかったからだ。しかしこれからは、人間がデジタル空間に飛び込むことにより、全ての言動がデータ化されAIで分析され、フィードバックされる。いずれそのような世界観になる。そのため、今から取り掛かってノウハウを先行して積んでおくことが必要だと周囲を説き伏せ、プロジェクトを発足させた。


もっともらしく聞こえるかも知れないが、実はこれ後付けである。最初の動機はいつものように自分のワクワク感だ。走りながら考えている内に、自分の組織ミッションと結び付けたという方が実態に近い。組織人として働く以上、その組織のミッションに紐付ける努力が必要だ。自分のやりたいことだけ主張していても、筋が通らない。自分の意思と組織の方向性を重ね合わせることで、周囲の巻き込み力が増えていく。

 

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