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連載コラム ある変革実践リーダーの荒波奮戦航海記 ~海図のない海をすすむ~

若林 健一

2020年11月04日

第15回 「カッコ悪い」の壁。明日から打ち破れる行動のコツとは?

「カッコ悪い」の壁

「こんな低いレベルで、打席になんて立てないよ…… 」
ヒットを狙ってあたるプロジェクトを生み出すために 打席数を増やそうとすると 、必ずクオリティーの低い状態で打席に立つ場面(ケース)が多くなる 。当たり前の話だが、新しいことに取り組む場合、最初から上手く行っている状態というのはあり得ないからだ。


ここで多くの人は挫ける。「こんな状態で打席に立つなんてみっともなくて出来ない」とか「他人から何言われるか分からないから怖くて出来ない」といった心理が必ず働くからだ。

打率より、大切なのは打席数?

「ピカソがなぜ天才と言われるか。それは多作であるからだ。」

 これはある有名な作詞家の言われた言葉だ。

 木本の加入後、オフェンスに専念できる環境に恵まれた私は、また怒涛のプロジェクトをこなす日々が始まった。チーム設立から 2年で200プロジェクト以上こなしているのだが、大半は木本の加入後の案件だ。当時の私は常時2030のプロジェクトを抱え、人事・経営管理・マーケティングなど領域横断に動きまくっていた。


周囲から「もっと戦略的に動け」とか「的を絞った方が効率的だ」という意見もたくさん頂戴した。だが実はある意味、これがチーム設立2年目の私の戦略であった。


現在の様な変化が激しい時代において、ポートフォリオを組むことは非常に重要で、一つのものに集中している方がリスクが高い。事業を分散させておかないと一つの傷が致命傷になってしまう世の中だ。

 私の行動は一見場当たり的にみえて、実は裏で頭をフル回転させている。常時動いている20~30のプロジェクトを組み合わせ、  思考を駆け巡らせているのだ。


あの技術とこのデータを組み合わせるとこんなことが出来るのでは。この技術が世に出始めるXX年後にはこのプロセスは不要になっているはず。など年に一回どころか日常的に走りながら、頭の中で短期・中期計画を作っては修正しを繰り返している。


こんな思考を繰り返しているうちに自然と打率が上がるようになっていった。ある一定の臨界点を超えた時に、量が質に転換し始めたのだ。


最初から打率を追っていては結果として打率は上がらない。まずは打席数を増やすべき。これが私の持論である

  

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