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連載コラム ある変革実践リーダーの荒波奮戦航海記 ~海図のない海をすすむ~

若林 健一

第15回 「カッコ悪い」の壁。明日から打ち破れる行動のコツとは?

2020年11月04日

人の話は「半分だけで」聞く

打席に多く立つと、向き合う関係者の数も増えてくるので様々なご意見を頂戴する機会に恵まれる。当然批判の声も含まれるのだが、ポイントは全部の声を鵜呑みにしないということである。

これは顧客であろうと上司であろうと全ての人に対して私が取っているスタンスだ。一見相手に失礼だと思われるかも知れないが、全くそんなことはない。

私が言いたいのは、半分人の話を聞き、もう半分は自分の頭で考えると言うことである。

人の話を全く聞かないのは問題だが、全て鵜呑みにしていては、「言われたことだけやっている人」で終わってしまう。また大体は人によって意見が異なるので、皆の意見を聞き過ぎると「攻めながら守ります」的なトンチンカンな内容になってしまう。要は軸がぶれてしまうのだ。

多くの人の意見を聞き、そこに潜んでいる本質的な部分を洗い出す。そして、自分の持っている別の知見と突合させて、アイディアや行動を昇華させる。こういった取り組みを重要視している。

 

ここでポイントになるのは打席数が多ければ多いほど、多様な知が蓄積され、突合の精度と速度が高まると言う点だ。アンテナ高く情報を取りまくるということの重要性は、この突合の精度・速度を上げるところに本質的な価値があると考えている。

 

つまり打席数が多いと  生き残る確率が上がると言ったことだけでなく、組み合わせによって出てくる知、いわゆるイノベーションの精度が上がるのだと私は考えている。 

しかし打席数を増やすのは口で言うほど簡単なものではない。なぜならそこには大きな心理的な壁があるからだ。

「それでも、打席に立つ」ことの意味

この心理的な壁が、冒頭の「カッコ悪いの壁」である。

昨今の世の中の風潮として、打席に立とうとする人を批判する人が増えているようにみえるのが、気になっている 。「お手並み拝見」的なスタンスで人を見下し、失敗しようものなら「それ見たことか」と叩く。こういう人に限って自分は打席に立つ回数が少ないことが多く、たちが悪い。

私も恥ずかしい思いや、批判をされることは数え切れないほど経験してきた。悔しくて眠れない日もあった。それでも打席に立とうとし続けたのは、私がスーパーマンだからでも偉大なる挑戦者だからでもない。


単純に自分が楽しいと思っていることに取り組んでいるからだ。恥ずかしさや批判の声よりも、ワクワク感の方が勝っているだけ。単純にそれだけの理由なのだ。

そして忘れてはならないのは周囲の支えという点だ。


いくら楽しいことだといっても、批判されてばかりいては、やる気が喪失してしまうのが人間というものだろう。私も上司やチームのメンバーが裏で支え、応援してくれているという実感を持てているからこそ打席に立てるのだ。彼・彼女らの支えなしに今の自分はないし、感謝してもし切れない。


人からカッコ悪いと思われることを恐れて、自分のやりたいことが出来ないほうが、もっとカッコ悪い。自分のワクワク感に身を任せて行動すること。そしてそれを支えてくれる周囲への感謝の気持ちを忘れないこと。そんな思いで日々打席に立ち続けている。

執筆者プロフィール
若林 健一
NECマネジメントパートナー株式会社
業務改革推進本部所属
1980年 生まれ
2002年 NEC入社
2018年 NECマネジメントパートナーにて高度化サービス開発チームを設立
経営管理・人事・マーケティングを中心に、データアナリティクスとAIを活用した NECグループの経営高度化について、2年間で200プロジェクト実施
NEC Contributors of the Year2019など数々の賞を受賞
執筆者:若林 健一