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連載コラム ある変革実践リーダーの荒波奮戦航海記 ~海図のない海をすすむ~
若林 健一
第13回 上司は偉くない?これからの時代の上司と部下のあり方とは
上司は偉くない
リーダーたるもの一定の強みや専門性を持っていることは必要だ。メンバーから信頼される姿勢なしに、弱い部分ばかりを見せていては人はついてこない。ある意味、私が当時抱いていた思いも半分は正しかったのだと思っている。しかしそれだけでは不十分だったのだ。リーダーが弱さを見せず、いわばカリスマ的になってしまうと、リーダーの言うことが絶対的に正しいというような空気が産まれてしまう。
上司は偉い、常に正しい答えを持っているというのは過去の話だ。かつての会社の構造は中央集権的に情報が集約されていたため、上司に答えが集まりやすかった。またビジネス自体も連続性が高かったことから経験値がものを言う部分が大きかった。しかし、現在の様な変化が激しく非連続な時代において、過去の経験が持つ価値はかつてに比べ低くなっている。場合によっては足枷となってしまうことさえある世の中だ。トレンド情報や市場状況などに関して言えば、若いデジタルネイティブな世代の部下の方が情報量・知識共に豊富などということも珍しいことではない。「情報は上司から部下へ流すもの」という時代はとうの昔に終わったのだ。
非連続な時代において価値を創出し続けるためには多様な知を結合させる必要がある。部下であろうと、若手であろうと、自分の分からない知見は積極的に教えを乞う姿勢が必要だ。そのためには、弱さを見せることも重要。そんな思いが芽生え始めてきた。
助けてもらう力

現代の様な変化が激しい時代において、全てのことを一人で行うには限界がある。それ故、他者とチームを組むことが重要になってくる。その時その時に応じて専門家の力をいかに借りられるか、言い換えれば助けてもらえるかが勝負のポイントだ。
人から支援してもらうのは格好悪い。リーダーなのだから、自分で何とかしなければと考えてしまう。そんな考えでは一時しのぎは出来たとしても、中長期的に安定して価値を創出することは出来ないだろう。あの人は自分でなんでも出来るから大丈夫と思われ、周囲が手を差し伸べてくれなくなってしまうからだ。
確かにカリスマ的リーダーは格好いいし、憧れの対象になりやすい。しかし、弱さをしっかり出し、人から助けてもらえる力を持つ、共感力の高いリーダーの方が、現代のような時代のトレンドには合っていると思う。チーム設立して1年くらい経ってから、このように感じるようになっていった。
そして私が当時、中西に見せた弱さをきっかけに、チームが大きく変わって行くことになる。
執筆者プロフィール |
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若林 健一
NECマネジメントパートナー株式会社 業務改革推進本部所属 1980年 生まれ 2002年 NEC入社 2018年 NECマネジメントパートナーにて高度化サービス開発チームを設立 経営管理・人事・マーケティングを中心に、データアナリティクスとAIを活用した NECグループの経営高度化について、2年間で200プロジェクト実施 NEC Contributors of the Year2019など数々の賞を受賞 ![]() |