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連載コラム ある変革実践リーダーの荒波奮戦航海記 ~海図のない海をすすむ~
若林 健一
第13回 上司は偉くない?これからの時代の上司と部下のあり方とは
弱さを見せられない弱い自分
貴方は自分の弱さを人に見せているだろうか。
これは私が最も苦手にしていることだ。私は良くも悪くも負けず嫌いな性格で、中々自分の弱さを人に見せられない。いつも強がってしまう駄目な自分がいる。また一人っ子かつ陸上競技という個人スポーツを長く行ってきたこともあり、何でも自分でやりたがる悪癖がある。チームを設立し、メンバーを引っ張る立場になってから1年くらいは、この特性がより顕著になっていった。
キックオフミーティング感情分析やエンゲージメントサーベイ分析などで、それなりに成果は出せたものの、チームとしての基盤はまだまだ脆弱だと感じていた。リーダーがしっかりしていなければメンバーはついてこない。実績の乏しいチームはちょっとでも背伸びをしてアピールしていかなければ周囲に認めてもらえない。そんな独りよがりな考えが私の頭の中を占めていた。
分からないことは分からない。出来ないことは出来ない。困っている時は困っている。と明確に示すことの重要性にこの時はまだ気付いていなかったのだ。
しかし、妻から言われた一言をきっかけに私の考えは変わっていくことになる。
チャーミングであれ

弱さがある人の方が人間的に魅力を感じる。妻にこう言われた時、私はハッとした。確かに弱さがある方が人は共感しやすい。映画やドラマ、小説など世の中の多くのコンテンツが、主人公を完全無欠でなく、どこか傷がある、弱さがある設定にしているのはそういった理由からだろう。弱さは見方を変えれば、その人の魅力(チャーム)になるということだ。
何故か分からないけど助けてあげたい。応援してあげたい。こんな気持ちにさせる人が貴方の近くにもいるのではないだろうか。そしてそういう人は例外なくチャーミングであるはずだ。(人間的な魅力がなければ、そもそも助けたいとか、応援したいとは思わないだろう)AIだDXだというとクールで無機質なイメージを持たれる方も多いかも知れない。実はそんな時代だからこそチャーミングであることが重要であると言うのが私の見解だ。なぜなら、愛される力を持っていなければ、多様な知が集まらないからだ。その結果、変化にも強くなれない。
強いから人が力を貸してくれる訳ではない。その人の目指すべきものや人間的な魅力によって人は手を貸そうと思うのだ。
(前回のコラム)