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連載コラム ある変革実践リーダーの荒波奮戦航海記 ~海図のない海をすすむ~
若林 健一
第11回 えっ。そのテーマ?お客様発「まさかのヒット作」で変わるオトナの意義とは?
オトナが輝くことの意味
当初は乗り気でなかったこのテーマに、私自身、次第に熱意をもって取り組むようになった。
なぜ熱意を持てるようになったのか。
それは、取り組んでいるうちに課題意識が芽生えたからだ。
日本財団が2019年に行った18歳を対象にした国際的調査において、日本は「将来の夢を持っている」割合が他国と比べ30%近く低かった。また対象9カ国中ワーストの約38%が、国の将来は「悪くなる」と答えている。※1
いつの時代も未来を担うのは若者であり、その若者が未来に夢を持てていないというのがこの国の現状なのだ。
これを「最近の若者は」ということで片づけてはならない。原因は若者ではなく、我々オトナ側にあると、私は思っている。

米ギャロップ社の調査によれば、日本企業はエンゲージメントの高い「熱意あふれる社員」の割合が、諸外国と比べて圧倒的に少ない※2。仕事は人生においてかなりの時間を費やすファクターである。それ故、仕事で得られる充実感やワクワク感が人生に及ぼす影響も大きい。
疲れた顔して、つまらなそうに働くオトナを見て、若者が将来に夢や希望を抱くだろうか。「あの人みたいになりたい」と思わせる「輝くオトナ」が社会に溢れることで、初めて、若者は将来に夢や憧れを抱き、未来を切り開いていくのだ。若者に将来の希望を抱かせる社会を創るのはオトナの責任。これが私の持論だ。
「どんな立派な教えや良質な教育プログラムよりも、輝く親の背中を見せることこそ、最良の教育だ」というのはある著名な教育評論家の弁である。
つまり、輝くオトナを作ることは一企業だけの課題でも無ければ、時間軸的に現在だけの課題でもない。中長期的に見た日本の成長まで影響を及ぼす重要なテーマであるというのが私の捉え方だ。
それ故、「輝くオトナ」を増やすことで、現在の日本社会を活気づけること。そして未来の担い手である若者が夢や希望を持ち続けられる社会を創ること。これが目下の私の目標であり、そんな想いでこのテーマに取り組んでいる。
※1 日本財団「18歳意識調査」第20回 テーマ:「国や社会に対する意識」(9カ国調査)
2019年9月下旬から10月上旬にかけた20回目の「18歳意識調査」で、インド、インドネシア、韓国、ベトナム、中国、イギリス、アメリカ、ドイツと日本の17~19歳各1,000人を対象に国や社会に対する意識を聞いた調査
https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2019/20191130-38555.html
※ 2 米ギャロップ社の調査「State of the Global Workplace」において、日本企業はエンゲージメントの高い「熱意あふれる社員」の割合は約6%であり、139カ国中132位と最下位レベルだった
エンゲージメントサーベイ分析の取り組みが「日本の人事部」HRアワード2020「企業人事部門の優秀賞を受賞しました。
執筆者プロフィール |
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若林 健一
NECマネジメントパートナー株式会社 業務改革推進本部所属 1980年 生まれ 2002年 NEC入社 2018年 NECマネジメントパートナーにて高度化サービス開発チームを設立 経営管理・人事・マーケティングを中心に、データアナリティクスとAIを活用した NECグループの経営高度化について、2年間で200プロジェクト実施 NEC Contributors of the Year2019など数々の賞を受賞 ![]() |