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連載コラム ある変革実践リーダーの荒波奮戦航海記 ~海図のない海をすすむ~
若林 健一
第11回 えっ。そのテーマ?お客様発「まさかのヒット作」で変わるオトナの意義とは?
まさかのヒット作
えっ。そのテーマですか?
2017年秋、準備室時代に、人事領域におけるテーマとして初めてエンゲージメントサーベイ分析に着手した時の私の感想だ。
このテーマに取り組もうという話になった当初、正直な所、私はあまり興味が湧かなかった。従業員サーベイというものの重要性を理解していなかったからだ。経営管理領域出身の私としては、事業×スキルなど人員ポートフォリオ分析のような戦略寄りのテーマに関心が強く、当時の人事担当役員に押される形で着手したのが実態だ。今考えるとあの時、我を通して違うテーマに取り組んでいなくて本当に良かったと思う。なぜならこのプロジェクトが私たちの未来を大きく変えたからだ。
エンゲージメントサーベイは、NECグループ全体で取り組んでいる年一回の従業員サーベイである。一問一答のWebアンケート形式で、データが綺麗に揃っており、分析に際して大規模なシステム開発や改修も必要としない。そういった意味でOUTPUTが早く出しやすく、予算や人員が限られていた準備室時代の私たちには取り組みやすいテーマであった。
正直、取り組み始めた初期の分析内容は試行錯誤感満載であった。しかし、顧客を回って分析結果を紹介すると、意外な反応をもらえた。サーベイ以外のデータ(人員構成や業績など)との掛け合わせやAI活用といった、新しいアプローチ方法に好反応を示してくれたのだ。
顧客のキーマンである人事部長から言われた一言が今でも忘れられない。
「応援するからやってみなよ」
この一言こそ、私の大きな支えであり、サービスを磨きこむ原動力になっていったのである。
大きなニーズが発生!

私たちがこのテーマに着手した翌年の2018年度、NECグループはトップの強いコミットメントのもとで組織カルチャーの一大変革を行うという意思決定がなされた。そして、社員のエンゲージメントの向上が変革の取り組みの重要指標に設定されたのである。
これにより私たちのサービスに大きなニーズが産まれた。そして顧客価値を産み出すために、1年前からこのテーマに取り組んでいたことが、大きなアドバンテージとなった。それまでに私たちが行った分析結果や顧客からのフィードバックを基に、サービス内容に磨きをかける時間を確保できたからだ。どこの部分にAIを適用させるか。分析レポートの見せ方はどうするか。顧客の声を拾いながら、試行錯誤を重ねた。その結果、2018年度から正式に提供を開始したこのサービスは、多くの組織から評価を頂くことができた。
その後、短期サイクルで変革の進行状況や浸透具合を確認するパルスサーベイや、エンゲージメント向上施策の立案や効果測定などの分析など、支援領域を拡大。初年度は二人で始めたプロジェクトであったが、今では周辺領域も含め、多くのメンバーが関り、日々顧客への提供価値を向上するためサービスに磨きをかけている。
その結果、サービス開始翌年の2019年には社内表彰制度である社長賞を受賞。翌年の2020年には日本の人事部主催の「HRアワード2020」に入賞(これから投票によって最優秀賞・優秀賞が決定される)、と社内外から評価を頂く主力サービスに成長したのである。これは一重に日々改善を重ねているメンバーの努力の賜物であり、彼・彼女らとこのテーマに取り組めていることを本当に誇らしく感じている。今では私の「先を見通す力」の未熟さを反省するばかりだ。
(前回のコラム)
エンゲージメントサーベイ分析の取り組みが「日本の人事部」HRアワード2020「企業人事部門の優秀賞を受賞しました。