Breadcrumb navigation

連載コラム ある変革実践リーダーの荒波奮戦航海記 ~海図のない海をすすむ~

若林 健一

第9回 挑戦する組織・人づくりのために私たちがしてきたこと(前編・組織編)

2020年8月11日

チームで仕事を行う意味

そして、上司と部下という縦の関係とともに横の関係性も重要だ。私たちは元々、さまざまな部署から人を募ってチームを組成した経緯もあり、多様性の高いチームという特徴がある。

データ分析の世界では「ビジネス」「データサイエンス」「データエンジニアリング」の3つのスキルを必要とするが、当時の私たちにこの3つのスキルを全て高次元で持っている人間はいなかった。それゆえ、それぞれの持っている強みや軸足を補完し合えるメンバー構成で、プロジェクトチームを組成するようにしていた。

これこそがチームで仕事を行う意味であり、自分が得意でない領域を支えてくれる仲間がいることで、一人で行う何倍ものパフォーマンスを産み出せることにつながる。

「早く行きたければ一人で行け。遠くに行きたければ皆で行け」ということだ。

さらにこれだけ変化が起こるスピードが速い時代においては、なおさらチームの重要性が増すと感じている。絶えず起こるゲームチェンジの波を全て自分一人でキャッチアップし続けるのは困難だからだ。変化の波に適応し、安定して価値を創出し続けるには、絶えず異なる分野の専門家が誰かを知るアンテナの高さと、彼ら彼女らにアプローチし、巻き込める実行力が必要だ。

そしてチームがパフォーマンスを発揮するためには、自分にない強みを持つメンバーが、互いにリスペクトし、互いに助け合える関係性の構築が重要だと思う。イノベーションを産むには多様性が重要と叫ばれて久しいが、必要条件ではあるが十分条件ではないと私は考えている。

多様性の高いメンバー構成でチームを組成すればイノベーションを起こせるのかといえば、そんな単純な話ではない。集まったメンバーが化学反応を起こせる「お互いへのリスペクト」と「互助の精神」がチームの中に根付いてこそ、新しい価値を産み出すことが出来るのだ。まさにインクルージョン&ダイバーシティーということなのだと思う。それゆえ、私たちはチームとしてこのカルチャーを創ることを当時から現在に至るまで非常に重要視している。

執筆者プロフィール
若林 健一
NECマネジメントパートナー株式会社
業務改革推進本部所属
1980年 生まれ
2002年 NEC入社
2018年 NECマネジメントパートナーにて高度化サービス開発チームを設立
経営管理・人事・マーケティングを中心に、データアナリティクスとAIを活用した NECグループの経営高度化について、2年間で200プロジェクト実施
NEC Contributors of the Year2019など数々の賞を受賞
執筆者:若林 健一