Breadcrumb navigation
連載コラム ある変革実践リーダーの荒波奮戦航海記 ~海図のない海をすすむ~
若林 健一
第2回 社内失業を乗り越えよ!その先に出会ったブルース・リー的思考とは?
人事領域との出会い
受注確度予測の先が見えないこともあり、この活動を 拡大させるためにも新たなAI案件の実績を創る必要性が出てきた。そこで次に目を付けたのが、人事領域である。なぜこの領域かと言うと、理由は単純で、当時の上司から薦められたからだ。
早速人事の関係者に提案に行ったところ、じゃあ有識者を集めてワークショップをやろうという話になった。しかし、関係者の予定調整を終えるのに、なんと1か月もかかってしまった。
これを反省材料に、現在はほとんど大人数のワークショップによるネタ出しはやらないようにしている。今では考えられないスピード感だが、それだけ当時の私はノロマであったのだ。
だが、この時に出てきたネタを元にして作られたサービス、「エンゲージメントサーベイ分析」が後のヒット商品になり、人事領域が、一番早く私のチームの成果と認知度を上げることになるのだから、世の中分からないものである。
ブルース・リー的思考
「なぜ人事領域をやろうと思ったのか」と、その後良く聞かれることになるのだが、自ら能動的にというより、前述のとおり周囲の薦めからスタートしたというのが正直なところで、その後の展開が見えていたわけでも、確証があったわけでもない。当時の私はとにかく仕事が欲しい一心だったので、がむしゃらに様々な領域のニーズ探索・価値探索をし続けていたという方が実態に近いと思う。
しかしやってみると、人事領域はデータがかなり綺麗に揃っていることが分かり(データ分析の世界ではデータが綺麗に揃っていることはかなり稀である)、担当幹部も新しいチャレンジを後押ししてくれる風土があった。
ただこれは結果論で、初めから分かっていたわけではなく、やったからこそ得られた知見である。『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』の著者で有名なコンサルタントの山口周氏は、とある講演会で、『PDCAではなく、まずDo。その次にCheck、上手く行きそうになったらplanを立てる。「DCPA」みたいな感じが良い』と言われていた。
まさにその通りだと思っている。とにかく「Do」の大切さを感じた経験で、結果としてこの時の「Do」が、その後のチームの運命を大きく変えた。そしてこの経験は私の仕事のスタイルにも変化を及ぼした。
かつての私は経営管理職で計画を立てるのが仕事だったので、よくPDCAと言っていたのだが、この頃を境に、私の頭の中から「PDCA」の文字が消えた。気になることがあったら、速攻で試し、ダメだったら速攻でピボットするという現在のスタイルに、変化しはじめたのである。
トップアスリートが良くインタビューで「体が勝手に反応した」と答えるが、あのレベルまで達しなくてはならない。頭で考えているようでは遅く、まさに「Don’t think, Feel 」と言ったブルース・リー的思考が必要なのだ。
そんな変化が見えはじめたこの時期、私に運命的な出会いが訪れた。そしてチーム設立に向けて本格的に動き出すことになる。
執筆者プロフィール |
---|
若林 健一
NECマネジメントパートナー株式会社 業務改革推進本部所属 1980年 生まれ 2002年 NEC入社 2018年 NECマネジメントパートナーにて高度化サービス開発チームを設立 経営管理・人事・マーケティングを中心に、データアナリティクスとAIを活用した NECグループの経営高度化について、2年間で200プロジェクト実施 NEC Contributors of the Year2019など数々の賞を受賞 ![]() |