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連載コラム ある変革実践リーダーの荒波奮戦航海記 ~海図のない海をすすむ~
若林 健一
第1回 AI使ってなにかできない? おめでたかった私
全てはバズワードから始まった。
「AI使って何か出来ない?」
今このセリフを聞いたら失笑レベルだが、私たちのチームは(正確にはこの時にいた現メンバーは私しかいないため「私は」が正しいかも知れない)このセリフをきっかけに記念すべき第一歩を踏み出した。
ちなみに当時の私は、この言葉にワクワクしており、端的にいえばそのレベルでしかAIを理解できていなかったということである。
まだチーム設立の話すらない2016年春、NECマネジメントパートナー(以降NMP)において「AI活用によるサービス開発」プロジェクトが立ち上がった。私は当時NECの経営管理部門に所属していたのだが、新しいことに挑戦してみたいという思いから、半ば強引にこのプロジェクトに参画させてもらった。
そしていわゆる「何か」を半年間くらいかけて探した。
今考えるととんでもないノロマなスピード感であったのだが、紆余曲折を経て経営管理部門の業務でAI活用のPOCを行うことが決定した。
はじめてのAI活用
記念すべき第一弾として私たちが取り組んだ最初の案件は「受注確度予測」というもので、AI活用により営業の行動履歴やプロセス情報といったファクトデータを元に案件毎の受注確度を自動推定するといった内容である。
NECが全社的に経営管理改革プロジェクトを推進していることもあり、どちらかというとニーズドリブン的にプロジェクトを選定したのだが、もう一つ大きな理由として、私自身がその業務に長年従事していたということもあった。
私は新卒でNECに入社して以来、ずっと経営管理という仕事をしており、この業務に精通していた。
データ分析案件では現場部門の知見の引き出しやコミュニケーションが大切という話が良く出てくるが、自分が所属していた事業部を被験者にしてPOCを行ったので、知見&人脈共に豊富でこの点について阻害要因がなかったのは非常に良かった。
とはいえ当時はまだAIが黎明期であったことやNMPには経験者がほとんどいなかったこともあり、正に手探りのプロジェクトであった。
NECのAI部門からデータサイエンティストをアサインしてもらいプロジェクトがスタートしたのだが、いきなり高い壁が待ち構えていた。
(前回のコラム)