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連載コラム ある変革実践リーダーの荒波奮戦航海記 ~海図のない海をすすむ~
若林 健一
~はじめに~ ゼロと言うより、マイナスから?
「その考え、すごく良いですよ。それ、広く社会に発信しましょうよ。」
あるメンバーから言われた一言に背中を押され、本コラムの執筆を決意した。
私はNECマネジメントパートナー(以降NMP)において、AIアナリティクスを中心にした高度化サービスチームの立ち上げメンバーだ。
このチームで私が成し遂げたいことは
「全てのヒトを輝かせる」
ということである。
なぜなら、端的に今の日本は「ヒトが輝いていない」ように私の目には映るからだ。
2017年に発表された米ギャロップ社の調査において、日本企業は「熱意あふれる社員」の割合が、139カ国中132位と最下位レベルだったと言うのは有名な話だが、つまり今の日本において企業は「ヒトを輝かせていない」ということであり、これはかなりの社会問題だと思っている。
その問題意識から私はNECグループという創業120年を超える老舗大企業において自分たちが挑戦している実践事例を発信することで、同じように日本の大企業の中で挑戦しようとしている人たちの背中を後押しし、ひいては日本社会の全体を元気にさせられないかと考えた。
なぜなら昨今ベンチャー企業へ人材や資金がある程度流入する流れが出来てきているが、まだまだ現在の日本社会においては大企業に多くの有形無形資産があり、それを有効活用することこそ、現在日本を厚く覆っている「閉塞感」をぶち破るドライバーになると考えているからだ。そのことをメンバーに話したところ、冒頭のセリフに至ったという訳である。
スタートは、たった二人から
私のチームはたった一つの事例、たった二人からのスタートだった。
チーム設立当初は「PDCAは回さない」「上にお伺いは立てない」「仕事は好きなことをする」と言った方針で活動していたことから、周囲から奇異な目で見られることも多く、実際、あちらにぶつかり、こちらにぶつかりと言ったことを繰り返しながら、今では40名弱のメンバーが集結した正式な組織となった。
そして設立2年間で200個に上る高度化プロジェクトの実績を積み上げるまでに成長した。ありがたいことに昨年は、NECグループ10万人の中で最もバリューを実践したチームに贈られる、「バリュー実践賞」など、社内の数々の賞も頂戴した。
こういう話をすると、「元々精鋭部隊が集められたチームだから出来たのでは?」と思われるかもしれないが、実態は全く違う。
ゼロからのスタート、と言うよりむしろ、ゼロですらない、マイナスからのスタートと言った方が良いくらいであった。
現時点においても、一定の成果は出せたものの、まだまだ課題は山積み状態の未成熟な組織というのが実態だ。
それ故、本コラムは
「裸になれ」
と言うコンセプトで発信していきたいと思っている。