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共通言語を使用することの大切さ

PJ活動お役立ちコラム
第187回 2024年8月27日
共通言語を使用することの大切さ

用いる言葉は相互に一意で解釈できること

とある会社の営業部において、開発現場とのかかわりの長いA主任と新入社員のB君が会話をしています。
A主任: あ、B君、これから開発部に行くなら、悪いけどこの書類をPMに渡してくれるかな。
B君: (ん?なぜ今すぐでなく、わざわざ午後に渡すんだろう?それはともかく)分かりました。で、誰に渡しますか?
A主任: 誰に?って、だから、(プロジェクトマネージャーの)Cさんに。開発部に行くなら、ついでに渡してきてよ。
B君: (え?Cさんって言ってた?それに、持っていくのは午後じゃないんだ)...はい、分かりました。ところで、この書類って何ですか?
A主任: 今ね、別プロジェクトの見積もりを出しているんだけど、参考としてCさんのプロジェクトで使っているノートPCのCPUを知りたくて、それを依頼する文書なんだ。
B君: あぁ、そうなんですね。それなら、あの部で使っているノートPCって10台くらいですし、僕の方でざっとコンパネ開いて調べてきましょうか?
A主任: (え?Cost per unitってコントロールパネルから調べられるのか。知らなかった。)あぁ、お願いできるのなら頼むよ。今日はあとで外出予定もあるし、急ぎドライブしてね。
B君: え?いや、仕事中ですし、そもそも僕、免許持っていませんよ。

A主任と新入社員のB君のやり取りから、コミュニケーションにおいて共通言語を使用することの大切さが分かります。
A主任が「PM」という略語を使ったことで、B君はそれを午後の意味だと勘違いしました。
また、A主任が「Cost per unit」の意味で使ったCPUという言葉に対し、B君はPCのパーツのCPUのことだと解釈しました。
さらに、ドライブという言葉は、最近ビジネスの場では「急いで前に進める、追いかける」から派生して「頑張る」というニュアンスで用いられることがあるのですが、B君には伝わらなかったようです。
このように、使われる言葉の意味が相互で一致していないと、コミュニケーションは円滑に進みません。

上記会話は作り話ですので、実際にここまで内容がずれた会話が交わされることはないでしょう。しかし、ここで伝えたかったことは、コミュケーションにおいては、互いが同じ意味で解釈できる言葉を用いること、すなわち「共通言語の使用」が重要であることです。
ある程度前後の流れ・文脈から適切な意味を導き出すことも可能でしょうが、発信する側としえては、受信側のナレッジレベルにゆだねるのではなく、常に“一意となるように”適切な言葉を選択するように配慮することが重要です。以前のコラム(第161回)でも言及したように、コミュニケーションを成立させるのは受信側であるからです。

相互に正しく理解できる言葉を用いること

さて、最初に示した例は複数の意味を持つ言葉を使用することによって誤解が発生するケースですが、これに加えて『相手が理解できる言葉を使用する』ことも重要です。
例えば皆さんも、アルファベットの略語だらけの資料を見て、内容理解に苦労した経験があるのではないでしょうか。

例: CPOはPMに対してB2BおよびB2Cで共通のCRMのGTMのEOBをKPIに含めるよう依頼したが、PMは今日OOOのため代わりにPOCに連絡した
(製品責任者は、企業向けと個人顧客向けで共通して使用できる顧客間管理ソフトウェアツールについて、市場投入計画における期日を主要業績評価指標に含めるようプロジェクトマネージャーに依頼したが、今日彼は不在だったので窓口担当者に連絡した)

もちろん、専門用語であれば使わざるを得ない場面もありますし、専門的であればあるほどその意味を正確かつ端的に伝えるものですから、使用する方が適切である場面は多いです。その場合、例えば資料上に用いるのであれば凡例を示すなどの配慮を図ることで内容理解を阻害する可能性を下げることができます。

共通言語を使用することのメリット

共通言語を使用することで、メンバー間の意思疎通が明確になり、チーム全体の信頼関係の構築や、品質の高い成果物の提供、チーム全体の成長促進などが期待できます。
共通言語を使用することによって想定される効果を下表にまとめます。

意思疎通の明確化 誤解や誤解釈のリスクが減少し、プロジェクトをより効率的に進めることができます。
メンバー間の信頼関係の構築 メンバー間のコミュニケーションが円滑になり、チーム全体の士気も高まります。
プロジェクトの品質向上 メンバー間のコミュニケーションが明確になり、品質の高い成果物を提供することができます。
チーム内のストレス軽減 メンバー間のコミュニケーションが円滑になり、チーム内の不和や対立が減少します。
チームの成長促進 メンバー間の知識共有やスキル向上が進み、チーム全体の成長につながります。

終わりに

今回は、(ちょっと大げさな)例を用いて、コミュニケーションにおいて共通言語を使用することの重要性とそのメリットについて記しました。
これはとても些細な試みかもしれません。しかし、この小さな積み重ねによって優良なコミュニケーションの場が醸成されれば、それはプロジェクト成功のカギになると信じています。
今回のご紹介が皆さんの活動のご参考になりましたら幸いです。

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