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コミュニケーションにおける「伝える力」
PJ活動お役立ちコラム
第161回 2024年1月2日
コミュニケーションにおける「伝える力」

あけましておめでとうございます。
今年も「PJ活動お役立ちコラム」をよろしくお願いいたします。
第149回のコラムにて、お客様に現状課題をヒアリングすると頻繁に「コミュニケーション不足」が挙げられることから、適切なコミュニケーションを取るうえで重要なのは『伝えたいことをいかに正確に分かりやすく相手に伝えるか』であり、それには「聴く力」と「伝える力」の両方が求められることを記しました。前コラムでは「聴く力」に焦点をあてて「傾聴」について述べましたので、今回はもうひとつの力、「伝える力」について考えてみたいと思います。
コミュニケーションの成立とは
コミュニケーションの場には情報を発信する側と受信する側がいますが、コミュニケーションを成立させるのは受信側です。どれだけ重要で価値のある情報であっても、聴き手がいなければ意味がありませんし、伝え方が適切でなければ曲解や誤解(misunderstanding)を招き、伝達不良の状態(miscommunication)につながります。
そのため発信側には、相手に対してものごとを正確かつ分かりやすく伝えることが求められます。その際に留意すべき事項として、今回は3つのポイントを挙げて以下に記します。
「伝える」ための3つのポイント
一つ目のポイントは「使う用語、表現に注意する」ということです。
まず用語については、互いに同じ意味で理解できる言葉を用いることで誤解を防ぎます。伝える相手のことを考慮し、もしも相手にとって分かりにくい専門用語があれば可能な限り一般的な用語を用いるようにします。
表現については、いくつかの解釈に取られそうな曖昧表現を避け、具体的で明確な言葉を選ぶことでひとつの意味(一意)であるように心がけます。また、回りくどい表現を避けたり、要点を絞り込んだりすることで、伝えたい内容や意図が正確に伝わるようにすることが重要です。
また、使う表現は「言葉」だけではありません。表情、ジェスチャー、ポーズ、目線などの非言語情報は、情報を補完するうえで有効です。伝える際に留意するだけでなく、受け手のリアクションや身振り手振りから意図や感情を読み取りながら対応することが大切です。昨今はリモート形式でのミーティングや会議も一般的になっていますので、必要に応じて顔を見せるビデオ機能を用いるとよいでしょう。(ただし、ビデオ機能の使用については、話す相手やトピックに応じて要否を判断し、事前に確認・同意を得てください)。
二つ目のポイントは「支援資料やツールを用いる」です。
口頭のみによる伝達の場合、話の焦点が拡散したり議論が分散したりする恐れがあります。特に、複雑な内容を伝える場合には、スライドプレゼンテーションやプロジェクト計画書、デザインツールなどの説明用ツールや支援資料を活用することで、伝える内容の理解を深めることができます。その際にはテキストだけでなく、グラフや図表、作業手順のデモなどを含めると、視覚的なサポートによる理解促進が図れます。
三つ目のポイントは「フィードバックを受ける」です。
前述したとおり、コミュニケーションは一方通行ではなく相互のプロセスです。物ごとを伝えながら、受け手からの言葉や反応(フィードバック)にも耳を傾け、相手の理解度や感想、質問などに対して真摯に応えることでコミュニケーションの双方向性を確保することが重要です。
終わりに~「伝える」の一歩先へ~
辞書によると、コミュニケーションを取る「communicate」という言葉はラテン語の「communis」を語源に持ち、この「communis」には「共通の」「共有する」「分かち合う」といった意味があるようです(“一般的な”を意味する英語のcommonも語源は同じ)。
したがって、コミュニケーションとは単に「伝達すること」ではなく、さらに「共に何かを共有すること」と表現できると思います。この共有する「何か」とは、例えばプロジェクト推進でいえばプロジェクトの目標などが相当するでしょう。「聴くこと」と「伝えること」に留意しながら関係者間でコミュニケーションを取り、目標の共有を通じて良好な関係性を構築することが、やがてプロジェクトの成功につながるものと考えています。
今回のご紹介が皆さんの活動のご参考になりましたら幸いです。