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コミュニケーションにおける「聴く力」~傾聴について~

PJ活動お役立ちコラム
第149回 2023年10月10日
コミュニケーションにおける「聴く力」~傾聴について~

私たちが、お客様の課題解決に向けて現状について伺うと、いくつかの共通したキーワードを耳にします。例えばナレッジ継承、属人化解消、業務平準化などなど...その中でも頻出するのが「コミュニケーション不足」という課題です。
コミュニケーションを重視する傾向は、リモートワークの標準化やコミュニケーションツールの多様化に応じてさらに顕著になっています。しかし、そのような環境の変化を差し引いても、元々コミュニケーションはビジネスの場のみならず日常生活においても重要な要素といえます。人と人とが共に活動するうえでは、互いの意思を正しく通じ合わせることが必要であるからです。

コミュニケーションに求められる2つの力

コミュニケーションの目的には様々な定義が考えられますが、ここでは「自分と相手の間に良好な関係性を築く」としてみます。自分の思いや考えが相手に伝わらなかったり、逆に相手の主張を正確に把握できなかったりすると、良好な関係性を構築することはできません。
そこで私たちは、『伝えたいことをいかに正確に分かりやすく相手に伝えるか』に苦心します。あなたの周りにも、『あの人は説明がうまい』、『あの人の言うことはいつも理解しやすい』と評価される人がいて、ときに「コミュ力が高い」と評価されることもあるでしょう。この「伝える力」は、コミュニケーションを取るうえで確かに重要です。
その一方で、「伝える力」と同じくらい重要なのが「聴く力」です。なぜなら、相手の話を丁寧に聴くことは相手を深いレベルで理解することにつながり、コミュニケーションの目的として挙げた「良好な関係性の構築」に寄与するからです。また、相手を深く理解した結果、それを「伝える力」にフィードバックする効果もあります。
今回はこの「聴く力」、傾聴力について考えてみます。

傾聴することのメリット

筆者の知り合いに、ボランティアで傾聴活動を行っている人がいます。主に高齢者を対象に、施設や個人宅を訪問して相手の話を傾聴しています。
傾聴ボランティアを希望するのは本人からだけではなく、家族や親類の方、ケアマネージャーの方が本人のためにと依頼するケースもあり、そのような場合は最初警戒され、なかなか話をしてくれないことがあります。そんな人でも、丁寧に心と耳を傾けて傾聴することを続けていると、だんだんと打ち解けていっていろいろなことを自分から話し始めるようになり、やがては月に一度の傾聴訪問を心待ちにするようになるそうです。傾聴する側と受ける側とで信頼関係が構築されるのです。
このように、傾聴することによって、話し手は「私の意見をシッカリと聞いてくれている相手だ」と感じて信頼関係を築きやすくなります。そのほかにも、以下のような効果が得られます。

傾聴を受ける側(話し手)の効果

  • 自分の関わる不安を解消する
    話をする相手が興味深く楽しく聴いていると、話し手は自分が認められていると感じ、話しているうちに無意識に感じている不安感が解消されます。
  • モチベーションを高める
    話を聴いてもらえるという安心感は、承認欲求を満たすことになり、モチベーションが高まることにつながります。
  • 自分の気持ちを整理する
    頭の中で考えていることをうまく整理できない場合、自分の考えや思いを言葉にして発することで気持ちが整理されていきます。傾聴によって相手の話を引き出すことで、話し手の考えや気持ちが整理されます。

傾聴を行う側(聴き手)の効果

  •  相手を深いレベルで理解する
    傾聴を続けるとやがて話し手の心が徐々に開かれていき、さらに深いレベルで相手を理解できるようになります。
  • 伝える力を高める
    相手の思いや考えていること、価値観をより深く正しく理解できれば、それを踏まえて物事を正しくかつ適切に伝えることができるようになります。
  • 自分自身を客観的に理解できる
    傾聴を行うと相手の話を相手の立場で聴くことができるようになります。すると、自分の立場との違いに気づくことができ、客観性を磨くことにつながります。

終わりに~「聞く」から「聴く」を始めてみませんか~

傾聴とは、単に話を聞くだけではなく、相手の話に対して、丁寧に、耳と目と心を傾けて真摯な姿勢で聴くことです。「聴」という漢字には、「耳」も「心」も含まれており、辞書を引くと「詳しく聞き取る」という意味のほかに「聞き入れる、認める、許す」という意味もあります。また、傾聴は英語で「アクティブリスニング(active listening)」といい、積極的に、能動的に聴くことでコミュニケーションを取るという考えが見られます。
適切なコミュニケーションによって良好な関係性を築くため、まずは聞くことから聴くことを意識してみるのはいかがでしょうか。

今回のご紹介が皆さんの活動のご参考になりましたら幸いです。