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「計画しても実行できない・・・」を解消する

PJ活動お役立ちコラム
第165回 2024年2月6日
「計画しても実行できない・・・」を解消する

第153回コラム「少しだけ、立ち止まってみよう。」では、自分に問いかける時間を設けることで気づきを得て、未来への準備ができることをお伝えしました。
筆者が支援しているプロジェクトでも、自分たちの業務の中でうまくいっていることや躓いてしまっていることについて、一度立ち止まり考えてみたところ、多くの人が「計画を立てたが、思うように進まない」と嘆いていました。今回は、そのようなお悩みを解決に導くために、計画を実行に移すワンステップについてお伝えします。

なぜ、計画しても実行できないのか?

実行につながらない大きな原因の一つに、計画と実行の間のステップが抜けていることがあります。計画を実行に移すために必要なステップは、「段取り」です。この段取りを疎かにしてしまうことで、実行できない状態を自ら生み出してしまっているのです。

段取りとは?

語源には諸説あるようですが、寺社などで坂道に石段を設けるとき、高さや勾配から段数を見積もることを「段を取る」といい、石段の仕上がりを評価するとき、出来が良いと「段取りが良い」、不出来だと「段取りが悪い」と表現したことだといわれています。

プロジェクトにおける段取りとは、物事を実行するために必要な準備や手順のことです。
計画に似ていますが、計画をもっと具体的に細かくしたものです。
大まかな計画を立てても、一つひとつのステップが大きいと、実行に移すのは難しいので、具体的な小さなステップを入れることで、実行が楽になります。
この小さなステップを入れる(=段を取る)ことが段取りです。

段取りを組む手順

仕事を進める際に段取りが必要だということを漠然とわかっても、「何から始めたらよいのかわからない」ということはよくあります。
そこで、ビジネス書の「無駄な仕事が全部消える超効率ハック 」(羽田 康祐 著 、フォレスト出版、2020年9月発行)では、8つの手順を定めています。

  1. 目的を明確にする
  2. 背景を理解する
  3. 目標を明確にする
  4. 目標までの作業をリストアップする
  5. リストアップした作業を順番に並べ替える
  6. 作業ごとに成果物の内容・レベルを決める
  7. 作業ごとに役割分担を決める
  8. 作業ごとに所要時間を見積もる

筆者の経験上では、手順1~3が曖昧なまま進むと、手順8に辿り着いても実行がうまくいかないと感じています。特に、手順2「背景を理解する」は、見逃されがちな傾向にあると認識しています。目的は背景次第で意味合いが変わり、段取りを大きく変えてしまうので、注意が必要です。また、手順3「目標を明確にする」では、目標が明確でないと、中間目標の設定ができず、進捗管理ができなくなり、段取りが迷走してしまうので、必ず明確にします。

段取りを進めるには

段取りを組んだあとは、目標に向かって取り組んでいくことになりますが、行動に落とし込むためには、意識して進めていくことが必要です。その際のコツを紹介します。

  1. 悩むよりは決める
    ⇒「失敗したらどうしようと」不安になり、一歩を踏み出せない場合は、「まずは、1週間やってみよう」と短い期間で区切り、気軽に実践してみましょう。
  2. 当事者意識を持つ
    ⇒ひとつ一つの作業に問題意識を持てるようになると、問題解決のスピードが 上がります。また、考える力が身に付き 、自分の考えを周囲に伝えられるようになります。その結果、「受動的で振り回されがちな自分」を「主体的に物事を動かせる自分」に変えることができるので、周囲に振り回される時間を減らし、自身で段取りをコントロールできるようになります。
  3. 先読みする
    ⇒先々に起こりそうなことを事前に予測 できるように意識して先読みすると、自転車操業を抜け出し、余裕をもって段取りを進めることができ、目標達成に向けた段取りをリードすることもできるようになります。
  4. まめに進捗確認する⇒いきなり100%の完成形を目指すのではなく、10%、30%、50%などの段階を区切ったうえで、小刻みに成果物を関係者に確認してもらい、大きな手戻りを無くします。

さいごに

プロジェクトにおいて段取り良く進めることには、業務効率化・生産性の向上・遅延防止などの大きなメリットがあります。計画→段取り→実行のステップを意識して取り組むことで、短時間で抜け漏れなく、手戻りなく結果を出すことにつなげることができると筆者は感じています。今一度、みなさまも意識して取り組まれてはいかがでしょうか。
今回の内容がみなさんの活動に少しでもお役に立ちましたら幸いです。