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生成AIツールを利用してみた所感とメリットデメリット
PJ活動お役立ちコラム
第157回 2023年12月05日
生成AIツールを利用してみた所感とメリットデメリット

昨年11月に公開されたChatGPTを皮切りに、世間では生成AIが話題になりました。
チャット形式で調べ物や文章をユーザが入力するとほんの数十秒で回答が出力され、SNSで会話をしているような柔軟な言語処理が話題になりました。
筆者は、社内における生成AIを利用した業務効率化プロジェクトに参加し、生成AIを実際に使用してドキュメントやイラスト作成する際の効果を実感しました。現在、これを利用し、弊社の顧客に向けた提案書作成に掛ける工数削減と顧客の心に響かせるための提案の品質向上を目標に取り組んでいます。
第134回の「AI活用で変わる働き方」では効率化(時短)と高度化(属人化の解消)の視点で考察しましたが、今回のお役立ちコラムでは、実際に生成AIを利用し、その効果を検証したメリットとデメリット、所感について紹介します。
生成AIを利用するメリットとデメリット
今回の検証で得られたドキュメント作成に生成AIを利用する際のメリットとデメリットについて記載します。
● メリット
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工数削減
生成AIを利用することで、ドキュメント作成における執筆作業や提案内容を思考する時間などの工数が削減できます。短時間で目的に合ったドキュメントやイラストを執筆するのに有効です。 -
品質の向上
生成AIは、高い精度と一貫性を以って人か提示された情報をもとに回答を出力します。これにより、人間が犯しやすいミスや認知していない領域を網羅することができるため、品質の向上が期待できます。
● デメリット
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生成AIへの指示出しが複雑
生成AIにとって、抽象的な指示や指示の背景は理解しにくいため、、具体的な指示を入力しなければ目的に沿った回答を得られませんん。
何を、いつ、どこで、どのように行うのかを明確に伝えることで、AIが理解しやすくなります。 -
情報漏洩のリスク
ChatGPTやDeepL等の公開ツールは、入力された情報をAIが学習するため、会社や顧客情報やセキュリティの高い情報を入力しすること自体が情報漏洩のリスクがあります。筆者が利用している生成AIは、弊社の非公開ツールのため、社内に関する情報を入力することは問題ありませんが、 ChatGPTやDeepL等の公開ツールの利用において、会社の情報を入力するのは避けた方がよいでしょう。 -
ファクトチェックが必要
AIの性能は、学習データの質に大きく依存するため、出力された回答に信頼性が担保されていないことが多いです。また、学習データの情報や意見偏っている場合、出力された回答が妥当ではない場合があります。
したがって、出力された回答を利用する前に、その信頼性や正確性、妥当性を検証する(ファクトチェックを実施する)必要があります。
生成AIを利用してみての所感
筆者は、1か月間、生成AIを用いた業務効率化プロジェクトにおいて、生成AIによる提案書作成をテーマに、提案書の作成の工程をAIで実現し、作成の工数を低減できないかを検証しました。
お客様へのヒアリングを除いた、①課題抽出→②解決施策検討→③資料作成の3つのフェーズに分けて、妥当性のある回答を得るためのAIへの的確な指示出しについて取り組みました。
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課題抽出においては、顕在した課題と潜在している課題の2種類を抽出しましたが、どちらも異なる回答が出力されました。しかし、抽出された課題が、生成AIではなく人でも認知し得る内容もあったことから、付加価値のある提案を導き出すための課題を抽出するには、提案の背景を詳細に説明してAIに学習させたり、指示の出し方を改善したり必要があると感じました。
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解決施策検討においては、生成AIに入力した課題に沿って出力された回答をもとに、ある程度人による内容の肉付けや、回答の質によっては解決施策を選定する必要がありました。したがって、解決施策検討の工程にはこれらに要する時間を加算しておく必要があると思いました。
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資料作成においては、社内の生成AIが回答をテキストで出力するため、提案時のフォーマットに転記する必要があり、そのための工数が必要となりました。ただし、課題抽出や解決施策検討にかけていた思考の時間が低減されるため、この時間に吸収できると考えています。
総合的に評価すると、ゼロベースから提案書作成にかかる工数より20%程工数を減らせる見込みですが、いずれも改善の余地があると考えています。
最後に
今回は、生成AIツールを利用した所感をご紹介しました。
皆さまの中には、業務改善や工数削減など苦慮されている方も多いかと思います。
そのような悩みを抱えている方々やサポートする周りの皆さまのご参考になりましたら幸いです。