Displaying present location in the site.
AI活用で変わる働き方
PJ活動お役立ちコラム
第134回 2023年6月20日
AI活用で変わる働き方

昨年の11月に無料公開されたChatGPTに代表される対話型の生成AIを使ってみた方は多いのではないでしょうか。日本語で質問すると、数秒から数10秒で回答が提示され、自然な日本語で会話しているかのような体験に筆者も衝撃を受けました。
今後も進化を続けるAIの活用によって、私たちの働き方はどう変わっていくでしょうか。
今回は、筆者の業務について、効率化(時短)と高度化(属人化の解消)の視点で考察します。
効率化(時短)
筆者が担当している採用活動を例に取り上げます。
採用活動のひとつに、問い合わせ対応があります。人に代わってAIが問い合わせに対応するようになれば、担当者の都合に左右されず、24時間いつでも迅速な対応が可能になり、応募者を待たせない対応が成否を分ける採用活動において、大きなメリットを生むと考えます。
実際に、面接での質疑応答とは別に、面接の前後に応募者からは、社内制度や入社後の業務や勤務形態についての様々な問い合わせ(教育制度や福利厚生、平均的な残業時間、有休消化率、副業の可否、リモートワークの割合など)が寄せられ、人事部門と募集部門の担当者がそれぞれ回答案を作成しています。質問の内容はほとんどが、社内制度や実績値から回答できるものであり、社内ドキュメントを学習したAIの得意分野といえるでしょう。
人は問い合わせ対応から解放された工数を、入社後に定着、活躍する応募者の傾向の把握、それを見極めるための面接内容の充実などにシフトすることが可能になります。
高度化(属人化の解消)
プロジェクトの成功要因の一つに有識者の存在があります。有識者のリソース不足、有識者依存の解消にもAI活用の可能性があると考えます。
PMOやプロジェクトの支援業務を通じてプロジェクトを見てみると、過去からの経緯を熟知し、その分野固有の専門知識を持つ有識者の存在が、プロジェクト成功の要因になっているケースが多いように見受けられます。その有識者も高齢化が進み、プロジェクトの数に対して不足しており、複数プロジェクトを兼務する状況です。このような状況で、有識者への依存度が高い状態が続くことは、成功のカギを握っているはずの有識者がボトルネックとなり、リスクとなる事態も引き起こしかねません。
有識者不足の対策として、後進の育成や手順書等ドキュメントの整備などが挙げられますが、これは、有識者の知見を共有(伝承)するにすぎません。
AIに有識者達の振る舞いが記録された大量なドキュメントを学習させ、活用しながらアップデートを掛けていくことで集合知が形成されれば、より優れた助言をひきだせるかもしれません。
AIに学習させるデータの精度をどう保つか、期待した回答を引き出せるか、提示された回答の正誤判断など、解決すべき技術的な課題はありますが、今後、専門的な分野のリソース不足を人で補うことだけに頼ることは、選択肢としての優先順位が下がると考えます。
さいごに
人に求められる能力も、当然、変化していきます。実務遂行能力よりも、ツールとしてAIを使いこなすテクニック(たとえば効果的な回答を導き出す質問力)はもちろん、AIによって何を実現したいかを主体的に思考する好奇心や創造性が重要になるでしょう。
過去の経験にとらわれず、課題に向き合う力が必要なのだと思います。
今回の内容が皆さんの活動に少しでもお役に立ちましたら幸いです。