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会議は生きもの
PJ活動お役立ちコラム
第151回 2023年10月24日
会議は生きもの

皆さんにとって、「お手本にしたい会議」とはどのようなものでしょうか?
筆者にとって「お手本にしたい会議」とは、メンバーの能力を引き出しながら目的に向かってベクトルを合わせることに成功している会議です。具体的には、以下のような成果を得られる会議です。
- 限られた時間内に目的とする意見や結論を得られた
- メンバー全員が積極的に安心して発言することができた
しかし、「会議は生きている」と言われるように、メンバーが常に積極的かつ協力的に会議に参加してくれるとは限りません。業務の忙しさからメンバーのモチベーションや集中力が下がっているとか、特定のメンバーだけで議論が白熱し、他のメンバーの自由な発言が抑制されるような場面もあるでしょう。そのため、ファシリテーターには臨機応変な対応が求められます。
今回のコラムでは、ファシリテーターに必要な臨機応変な対応についてご紹介します。
なお、ファシリテーションについては、第117回「ファシリテーションとは?(会議を上手に進めるポイント)」でもご紹介していますので、併せてご覧ください。
消極的なメンバーへの対応
普段とは違い、会議だと大人しくなってしまう人がいます。「こんなことを言うと知識がないと馬鹿にされてしまうのではないか」「自分の立場でこんなことを言ってもよいのだろうか」と、不安や緊張を感じているのかもしれません。
このようなメンバーがいる場合、以下のようにすると発言を促しやすくなります。
- 会議の冒頭にアイスブレイクを入れ、話しやすい雰囲気をつくる
- 会議の冒頭で、「全員の意見・情報が貴重であること」「会議の中で指名して発言を求める可能性があること」を伝える
- 消極的な人を指名する際は、二番目以降にする
- メンバーからの発言に対し、ファシリテーターから肯定的なフィードバックを与える
なお、大人数の会議や開催時間が短い会議など一人ずつの指名が難しい場合は、付箋に書き込んでもらうとか、アンケートや投票のツールを使うという方法もあります。
集中力を欠いているメンバーへの対応
全体として煮詰まっていたり、疲れていたりする場合は、休憩やストレッチを挟んでリフレッシュするとよいでしょう。
他のことに気をとられて集中力を欠いているメンバー(頻繁に時計を気にする、隠れて他の作業をするなど)に対しては、「○○さんはどう思いますか?」と話を振ったり、メンバーに順々に意見を聞いたりすると、集中力を取り戻しやすくなります。
また、本人に関係がないテーマのため集中できないという場合には、そのメンバーに退席を促すとか、「専門外の方の意見を伺いたい」と聞き当事者意識を持ってもらうとよいでしょう。
意見が対立し、感情的になるメンバーへの対応
時には議論が激しくなり、緊張が高まることがあります。このような状況への簡単な対処法は、いったん休憩を挟むことです。お互いが冷静になる時間をつくることで、感情的な反応を避けることにつながります。
休憩の間に双方の意見をホワイトボードにまとめておくと、他のメンバーも客観的に確認できるのでよいでしょう。なお、その際は「AさんとBさん」ではなく「AさんとBさんの“意見”」が対立しているという観点で捉えることが重要です。
それでも対立が続く場合は、いったん議論を打ち切り、その問題だけを議論する別会議を設定するとよいでしょう。
さいごに
「会議は生きている」からこそ求められるファシリテーションのスキルですが、「自分には難しいのでは」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。今回ご紹介したことを知識として持っておくと、落ち着いてファシリテーターの役割を果たせると思いますので、ぜひ参考にしてください。
ファシリテーションのスキルは、単に会議をうまく仕切るだけでなく、チームの力を引き出し共通の目標に向かって進むための手助けにもなります。リーダーだけでなく若手のメンバーも積極的にファシリテーションに挑戦することで、チーム全体の成長につながるのではないでしょうか。
今回のコラムが、「自分が参加する会議を見直してみよう」「ファシリテーションに挑戦してみよう」というきっかけになりましたら幸いです。
今回のコラムの執筆にあたり、下記の書籍を参考にしています。
ファシリテーションに挑戦したいと考えている方に、おすすめの一冊です。
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著者:中西 真人
書名:実務で役立つ プロジェクトファシリテーション
~本音を引き出し納得を生み出す会議の進め方~
発行所:株式会社 翔泳社
発行年:2006年6月
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