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絵文字から学ぶ意思疎通のあり方

PJ活動お役立ちコラム
第79回 2022年5月31日
絵文字から学ぶ意思疎通のあり方

第74回のコラム「言語だけではないコミュニケーション」の終わりの方で絵文字について簡単に触れましたが、今回はこの絵文字を通して、意思疎通のあり方を少し掘り下げたいと思います。

絵文字の効果

いいね」や「 笑い」「 びっくり」など、SNSではもはや当たり前のように使われている絵文字ですが、ビジネスで使用するコミュニケーションツールによっては絵文字を簡単に呼び出せるよう実装されていることから、メンバーとのチャットなどで気軽に使われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
対面であれば、表情やゼスチャーによる視覚情報や、声の大きさや抑揚による聴覚情報で感情を伝えることはできますが、筆者自身も、文字のみのコミュニケーションで相手に言いたいことが伝わったとしても、感情までは伝えきれず、内心どう思っているのか気になることはあります。

絵文字は元々、1999年に開始された携帯電話用サービスの機能として開発され、少ない文字数の携帯メールでも相手にモノや感情を簡単に伝えられるツールとして浸透しました。やがて他のキャリアでも絵文字の開発が進み日本中に広まります。そして当然の流れのようにスマートフォンでも絵文字が採用されることになり、ガラパゴスと言われた日本独自の携帯文化の中で育った絵文字が、世界でも認められて「Emoji」として広まっていきました。
画面で表示される絵文字のデザインはOSや端末の機種によって異なるにせよ、多くは使用環境に拠らず世界共通で利用可能です。

絵文字は万能?

上記の通り今や世界中の人と気軽にコミュニケーションすることを可能にした絵文字ですが、意味が通じなかったり誤解を招いたりするケースがあるため使用する上で注意も必要とされます。

  • 文化の違い
    海外にない文化を元にした絵文字はその意味が通じず間違った解釈をすることがあるようです。
    よく言われるものとして、「土下座」や「お願い」の意味で使われる絵文字などがあります。
    • 土下座
      この絵文字は「すみません。」「ごめんなさい。」などと謝罪を意味する絵文字として使いますよね。しかし土下座は他国にない文化なので、これを見て「腕立て伏せ」だと思われるそうです。
    • お願い
      こちらは手を合わせた「お願い」を意味する絵文字としか思い浮かばないですが、やはりこちらも文化の違いにより、「ハイタッチ」を意味していると捉えられることがあるようです。
  • 意味の違い
    絵文字の絵が何を表しているのかは理解しているものの、その絵が持つ別の意味を表現するために使用することで、誤解されることもあるようです。
    こちらは「炎」や「レモン」などがあります。

    • これは見た通り「炎」を表した絵文字で「炎上」など連想しがちですが、海外では「クール」の意味で使われることが多いようです。
    • レモン
      こちらも見た通り「レモン」を意味する絵文字ですので、それ以外に使いようが無いようにも思えますが、「lemon」という言葉自体に「欠陥品」「魅力のない人」などといった意味があり、それを表すために使われるようです。

配慮すべきことは

このように海外とのやり取りの中では文化の違いや言葉が持つ意味の理解が必要ですが、国内外に限らず多様性(ダイバーシティー)への配慮も必要です。世の中は民族や性別、障害など多種多様な価値観や環境の違いが存在し、絵文字の世界でも多様性へ配慮したものが増えています。
例えばですが人の絵文字を選択する際、デフォルトの他に5種類の肌の色が選択できるようになっています。
自分では当たり前と思って送ったメッセージでも、相手によっては捉え方が異なって誤解を生じるケースがあるかもしれませんね。

おわりに

今回は絵文字を通して、意思疎通について取り上げてみました。この中で話した文化の違いや多様性の配慮は、決して絵文字に限定したことはありません。
皆さんの組織などでも多様な価値や能力を持った人材を登用して、競争力を高めようと取り組まれているケースが多いかと思います。
組織の中で対話がより円滑に進められるよう、今回の内容を少しでも思い返しながらコミュニケーションを図ってみてはいかがでしょうか。