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プロジェクトマネージャーの役割を根本から見直したい
PJ活動お役立ちコラム
第58回 2022年1月4日
プロジェクトマネージャーの役割を根本から見直したい

今回は「プロジェクトマネージャーの役割を根本から見直したい」というテーマのさわり部分をお話します。
現代は技術革新の急速な進展に伴い、開発現場で働く技術者や開発プロジェクトを指揮するプロジェクトマネージャーが担う日々の業務は高度化・複雑化を極め、その結果、開発プロセスはブラックボックス化し、不透明感が増しているように思います。こうした傾向は今後さらに加速することが予想されると考えます。また、昨今の報道においても、品質検査工程におけるメーカー側の不正問題があとを絶たず、かつて世界一を誇ったMade in Japanの信頼は大きく揺らぎつつあると言えます。他方、欧米、中国を始めとするものづくりにおける海外勢の勢いは増大し、スピード、品質の両面において日本のものづくりは取り残されつつある印象を持っているのは、筆者だけではないと思っています。
こうした傾向に歯止めをかけるために、今の私たちに何ができるのか。今回はこのテーマの考察について、「プロジェクトマネージャーの役割を根本から見直したい」という視点から、その概要部分をお話したいと思います。また、今後も折に触れてこのテーマでお話できるようにしたいと思っています。
開発現場の負担は増すばかり
私たちは日々の業務を通じて、多くの開発関係者との関係性をもっています。プロジェクトマネージャーを補佐するPMOの役割を始め、開発成果物と利用者との間をつなぐマニュアルや技術ドキュメントのライターとして、これまでも多くの開発関係者と仕事をしてきました。こうした中、いつも感じることは、開発現場の多忙さや業務量の多さです。現時点では未だ革新的な自動化やAI化が進展していない状況下において、多くの開発業務は人手によって遂行されているのが一般的です。特にプロジェクトマネージャーの負担は大きく、顧客対応を始め、技術検討や開発メンバーとのコミュニケーションを含め、各種管理業務に追われる日々となっています。また、新たな技術にも取り組み、必ずしも過去の経験を活かすことのできない業務にも挑戦することが求められています。こうした多忙を極める業務の中、限られた予算と人のやりくりを工夫し、決められた品質を納期どおりに収めることが要求されるまさに激務の象徴ともいえる存在が、プロジェクトマネージャーだと考えます。
これからの若い人にとって、プロジェクトマネージャーはなりたい職業か
皆さんもご承知のとおり、日本においては今後さらに少子高齢化が深刻化する中、特に生産年齢人口(15歳以上65歳未満)の減少化に歯止めがかかる目途は立っていません。経済産業省の発表では、「IT人材は2030年には最大で79万人不足する」との報告もあります。つまり、IT人材が不足する状況は、今後も継続することが予想されています。そんな中、特に激務である開発現場で働くことや、それを指揮するプロジェクトマネージャーになりたいと考える若い人はどれだけいるのでしょうか。このことは、皆さんにも真正面から向き合っていただきたいテーマの一つです。
「将来を担う若い人たちが魅力を感じない仕事に輝く未来はあるのか?」。筆者も開発業務に関わる一人のビジネスパーソンとして、非常に厳しく重い問いだと強く自覚しています。
開発業務を魅力ある仕事にするのが私たちの使命
反面、開発業務や、ものづくりそのものに興味や関心のある若い人は多いのではないか、とも感じています。毎年、大いなる希望を抱いてメーカー企業に就職している若者は多いと思います。ところが、現場に配属されいざ仕事を始めてみたのは良いけれど、現実は想い描いていた世界とはまったく違う異世界だった。そんな思いを持った経験は、開発関係者なら一度や二度は感じたことがあると思います。あるいは、常に感じていることかも知れません。顧客からの理不尽とも思える追加要求の嵐の中、少ない人員で厳しい品質と納期に追われる日々。業務を進める上で不明なことも多く、誰に聞けば良いのかさえ分からない。時には「何が不明なのかさえ分からない」という混沌とした状況の中、心身ともに疲れ果て・・・。
少し極端な例だったかも知れませんが、これでは魅力ある仕事とは到底思えないのは無理もないことだと思います。これらの状況を劇的に改善し、開発業務を魅力ある仕事に一変させ、優秀な若い人に未来の開発現場を託すことができるようすることこそが、私たちの使命だと思っています。
どうすればこのような状況を創ることができるのか。続きは別の機会にしたいと思いますが、今回のタイトルに筆者の想いの一端を表現しています。
今回の内容が、お役に立てば幸いです。
執筆者一同、今後も少しでも皆さまのお役に立つ情報発信に努めてまいります。
本年もよろしくお願いいたします。