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プロセス憎んで人を憎まず

PJ活動お役立ちコラム
第37回 2021年08月10日
プロセス憎んで人を憎まず

「これは…」と思われた方は、プロジェクトや業務の中で起きた問題に対して、原因分析、そしてその対策を検討されたご経験がおありと思います。「なぜなぜ分析」をする上でよく言われる注意点です。

本題に入る前に、以前のコラム「「気づく」人に私はなりたい」に対してアイデアや実例を募集しましたところ、なるほどと考えさせられる視点をいくつかいただきました。ありがとうございます。
メンバーが目の前の業務で留まっている場合には、サービス提供先や自身の業務の理想形を考えるようアドバイスしていきたいと思います。
「営業はいたしません」と宣言しておりましたので、個別にご連絡することはしておりませんが、関係者で共有し、これからもプロジェクト活動のヒントとなるコラムをご提供できるよう尽力してまいります。

今回のコラムは、「なぜなぜ分析」に端を発しておりますが、その進め方や注意点をお伝えするものではなく、私の失敗談から得た気づきをお伝えするものです。
本コラム以外のことでも、お気づきの点やプロジェクト活動に役立つアイデアや実例がありましたら、お気軽にWebサイトの【PJ活動お役立ちコラム ご意見・ご要望はこちらから】にお寄せいただきたいと思います。
前置きが長くなってしまい失礼いたしました。

「なぜなぜ分析」は真因を突き止めないと意味がない

とあるプロジェクトで、協力会社と一緒に業務をしていた時に起こった実例です。
委託内容は明確にしてお願いしていたつもりでしたが、結果としてはこちらのフォローが足りずに協力会社の理解がこちらの想定には達していなく、サービス提供先から指摘を受けてしまいました。
「なぜなぜ分析」では、タイトルにあるように個人に原因を求めたり、個人の努力や工数の積み上げでカバーするような対策を作り上げたりしてはいけません。再発の危険があり、根本的な解決策にはならないからです。

私の失敗は、この時、協力会社で実施した原因分析と対策(深堀の甘い「なぜなぜ分析」)を鵜呑みにしてしまったことです。当然、委託元である私たちも起こった事案に対して振り返りはしましたが、「なぜなぜ分析」は現場に任せてしまっていました。
結果的に甘かったなぜなぜ分析で導き出された施策は、「チェックプロセスを増やす」「クロスチェックをする」といった工数をかけてミスを防ぐというものでした。問題を解決して正常化するということに重きを置いてしまっていた私は、それが最善の解決策と思い込み、根本的な深堀ができていませんでした。
そのため、問題の解決策をサービス提供先に説明しましたが、根本原因は何なのかをすぐ見抜かれて指摘を受けるという恥ずかしい思いをしました。

「なぜなぜ分析」から気づいたこと

理屈は分かっていたにも関わらず、起こった事象に焦るばかり冷静さを欠いていた私は、改めて「なぜなぜ分析」をやり直すことにしました。
なぜそれが引き起こされたのか、何が原因だったのか事実関係をきちんと捉え、論理的な要素分解を心がけました。そして、真因として出てきたのが、自社のマネジメント不足…

私の失敗談はお恥ずかしい限りですが、この「なぜなぜ分析」を経験してから、業務を組み立てる際には下記のようなことに気をつけるようになりました。

  • 業務のプロセスで無理な点はないか (特定の個人に負荷がかかっていないか)
  • 業務プロセス上のルールがあいまいになっていないか (手順書などの遵守を明示しているか)
  • 業務全体に適切なマネジメントができているか (定期的な振り返り、品質確認などの実施をスケジューリングしているか)

問題は起こしたくて起こすわけではありませんが、起こらないような仕組みは作らないといけません。
今、チームをマネジメントする立場になり、失敗もありますが「プロセス憎んで人を憎まず」と言われる事態を引き起こさないように「気づき」、それをプロセスやルールに反映させ、マネジメントするよう心がけて業務にあたっています。
今回の内容がみなさまの業務遂行に少しでもお役に立てば幸いです。