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プロジェクト成功の定義(後編)
PJ活動お役立ちコラム
第25回 2021年05月18日
プロジェクト成功の定義(後編)
前回は成功プロジェクトの定義として、以下の視点でプロジェクト評価をすることで、成功かどうか判断するとよいことをお話ししました。
- 当初計画したQCDどおりの業務を遂行できたか。
- QCDに積み上げていたリスク分のコストや日程等は適正だったか。
今回は、その評価の結果が、次期プロジェクトの糧になる有効な資産であることをお話しします。
開発プロジェクトに関する過去情報こそが有効な資産
QCD目標の成否を始めとするプロジェクトの成功、失敗を定義付けすることは、一筋縄にはいかないものの、やはり先人たちの英知に真摯に向き合い、それを有効活用することが一つの大事な要素だと考えます。
各企業において、プロジェクト遂行の際に、現在、どこまで過去のプロジェクト情報を活用できているでしょうか。過去の真に優秀なプロジェクトマネージャーたちは、何をリスクと捉え、それをどのような意思決定に基づき事前回避したのか、現在のプロジェクトマネージャーたちの知恵となるような形で言語化されているでしょうか。
毎回同じようなリスクに躓くパターンは極端な例としても、それに近い現象が皆無であるともいえない実情があるように思います。とりあえずリスクだから、という理屈でコストやスケジュールを安易に積み増すことにならないよう、洗練されたプロジェクトマネジメントのための有効な資産として、過去のプロジェクト情報を整備することを強くお奨めしたいと思います。
プロジェクト成功のタネは身近にある
今回は2回にわたって「その成功プロジェクトは本当の成功と言えるのか」について、お話してきました。
若干、話が横道に逸れた感もありますが、大事なことはお伝えできたように思います。
「企業に歴史あり」の言葉どおり、現代のような市場環境の変化が激しく、不確実性の高い時代においても脈々と事業を継続している企業には、これまで幾多の困難を乗り越えてきた先人たちの英知があると思います。こと開発プロジェクトにおいても、厳しい顧客からの要求や期待、また、いくつもの制約条件をクリアしてきたプロジェクトマネージャーの優れた知恵があります。そうした過去のプロジェクト情報を、現在のプロジェクトに有効活用してこそ、真の成功を勝ち取ることができるのではないかと考えます。
企業活動もプロジェクト活動も、それを構成する重要な要素は情報です。過去の情報を有効活用しつつ、それを今現在の企業活動やプロジェクトにチューニングして有効活用できる企業こそが、今後もプロジェクトの成功確率を高めることができ、引いては、企業価値の向上を実現できるものと確信しています。
今回の内容が、少しでもお役に立てば幸いです。