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プロジェクト成功の定義(前編)
PJ活動お役立ちコラム
第24回 2021年05月11日
プロジェクト成功の定義(前編)
「そのプロジェクトは本当の成功と言えるのか」
今回は成功プロジェクトの定義について2回に分けてお話します。
皆さんは成功プロジェクトとはどのようなものか定義していますか。
成功の定義付けは、一筋縄にはいきませんが、プロジェクト完遂後に、以下の視点でプロジェクト評価をすることで、成功かどうか判断するとよいでしょう。
- 当初計画したQCDどおりの業務を遂行できたか。
- QCDに積み上げていたリスク分のコストや日程等は適正だったか。
そして、その評価の結果が、次期プロジェクトの糧になる有効な資産なのです。
なぜなのか、詳しく見ていきたいと思います。
どのような業務においても、その内容がルーチンワークでない限り、実行前には必ず計画を立案するケースが多いと思います。また、事前にさまざまな障害となる要素(リスク)を洗い出したり、誰がいつまでに何をするのか、といった関係者間の役割を決めたりもするでしょう。大概の場合、当初計画したとおりの品質(Q)、コスト(C)、日程(D)で業務が進めばその業務は成功だった、とすることが多いと思います。
特にその業務が自社にとって重要かつ顧客価値や社会的意義の観点からも重要視されるような開発プロジェクトの場合には、当初計画どおりのQCDを維持したプロジェクトマネジメントを実行することが強く求められますし、また、それを実現することが良いプロジェクトマネージャーの条件になると思います。しかし、当初計画したとおりにプロジェクトを遂行してさえいれば、本当に良いプロジェクトマネージャーと言えるのかどうかについて、考察してみました。
過剰なリスク費の積み増しと過大なスケジューリング
まず、当初計画を立案する段階で、どこまでリアルなリスクやそれに係るリスク費を想定していたのかが問われると思います。
どこまでが本当に発生する可能性の高いリスクとし、それに伴うリスク費だと定義すること自体は難しいものの、事前のリスク回避策を十分に検討することなく、とりあえずリスクとして洗い出し、その分の費用と日程を積み上げた計画を立案しているケースもあるように思います。「マネージャーに求められる最も基本的で、かつ育成できない資質は真摯さである」と言ったのはピーター・F・ドラッカーですが、最近の開発プロジェクトに関する傾向やさまざまな情報に触れるたびに、ふと、どこまでこの真摯さに基づくプロジェクトが実行されているのかと不安に思うことがあります。もちろん、一人ひとりのプロジェクトマネージャーは、限られた条件と環境の中で、日々プロジェクト推進に苦労されている大変善良な人たちであり、各社の存在意義や顧客価値の創出に精進されている方々であることは紛れもない事実です。そのため、こうした疑問を持つこと自体が、そもそも不遜な姿勢であり、かつ、間違った見解なのかも知れません。
大事なことは次期プロジェクトに何を引き継ぐか
したがって、今回お話したかった要点は、プロジェクト完遂後にプロジェクト評価をする際の一つの考え方を示したかった、というご理解を頂ければ幸いです。事前の計画段階でどこまでリアルなリスクとコストを想定していたのか、日程は真に適正だったのか等、単にQCDが上手くいったから成功だった、上手くいかなかったから失敗だったと安易に結論づけるのではなく、構造的、複合的な視点で評価を行い、次期プロジェクトの糧になるような評価を実施いただければと考えます。
次回は、この評価こそ、有効な資産であることをお話ししたいと思います。
> プロジェクト成功の定義(後編)