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文書作成の効率化は目的を明確に

PJ活動お役立ちコラム
第16回 2021年03月16日
文書作成の効率化は目的を明確に

皆さんは、プロジェクトの運用や進行に関する文書から、製品マニュアルや業務マニュアルなど、多種多様な文書を作成し管理していることと思います。
そして様々な取り組みで文書作成の効率化を目指し実現しているかと思いますが、目的や文書の特徴によってその手法は異なります。
今回は文書の効率的な作成の一例として、内容が類似した大量文書の作成を例にご紹介します。

内容が類似した大量文書として、例えば、多品種小ロット生産品の規約やマニュアル類などがあります。
製品・サービスなどは、条件によって、複数パターンに細分化され、その数だけ規約や利用手順が存在することがあります。
簡単に言うと、製品のサイズや材質、サービスの課金やサポート時間など、条件の組み合わせによっては、数十、数百もの規約や手順書が必要になるわけです。
たとえば、3択の条件が5通りあるだけでも、単純計算で243パターンの文書が必要になるのです。もちろん全パターンを作らずに、代表例だけ示して条件を明示するなど、文書構成の工夫で回避する手もありますが、条件の複雑さなどの事情で難しい場合があります。
ではこのような文書はどのように効率化すればよいでしょう。

効率化の目的を明確にする

文書作成を効率化したいとき、文書作成システムの導入を真っ先に思いつく方もいらっしゃるかもしれません。しかし過剰なシステムや目的にそぐわないシステムを導入しても使いこなせず効率化に結びつかない結果に陥ることがあります。
以前のコラムでも紹介しましたが、システムを導入する場合は、システムありきではなく、目的を明確にしてから検討すると良いでしょう。

今回の例で文書完成までの期間を短縮することを目的した場合、次のステップとして何を効率化すべきなのか明確にすることが重要です。
そのために、まずはその文書作成の工程を分解し、どの工程でどれくらいの工数と期間をかけているのか分析してみましょう。
今回の例では、単純に数百パターンもの文書を短時間で作りたいというだけでなく、作成した文書の膨大な内容確認時間を短縮したいということが見えてくるかと思います。そして、その施策として、条件選択するだけで内容が確かな文書を作る仕組みがあれば良いことも導き出させるかと思います。

実際にこのような数百にもおよぶ文書を、文書作成ソフトウェアを使って手作業で作成していたプロジェクトの作業工程を分析すると、作成時間はもとより、条件が正しい組み合わせになっているかの確認作業に時間を要していることが分かります。差し込み印刷の機能を使っていても手作業による工程が絡む分、完全にシステマチックとはいかないのです。

さて今回の例では、膨大な内容確認時間を短縮するために、条件選択するだけで文書を作る仕組みを作ることを目指すこととします。
ではどのように実現するのか。

文書の構造化と仕組化

条件を選択するだけで文書を作る仕組みを作るには、まずは文章を整理し構造化すると良いでしょう。
今回の例では、条件には拠らない定型文と、条件によって内容が変わる条件文に分けて整理すれば良いわけです。
条件文を前出のたとえで言うと、製品サイズの条件では、〇cmの場合の文章と△cmの場合の文章、といったものをすべて洗い出します。
あとは、条件を選択すると、その条件に合った条件文と定型文による文書を作成できる手段を選定すれば良いわけです。今回の例では、仕組的には特別複雑なわけでもないので、表計算ソフトウェアでも実現可能なことが分かります。実際に前述のプロジェクトでは、表計算ソフトウェアで文書構造を一覧化し、条件を選択してボタンひとつクリックするだけで数百の文書が自動作成される仕組みを実現しています。
つまり、システム導入しなくても効率化は可能なのです。もちろん将来の拡張を見据えてシステム導入を検討するのも一考かと思います。
なお文書の内容や量などにもよりますが、文書を構造化しておくことで、他文書への流用や分析などの利活用の幅も広がってきます。

文書作成の効率化とは

ということで、まとめるとこういうことです。

  • 効率化の目的を明確にする。
  • 文書作成の工程を分解し効率化すべき点を絞る。
  • 文書を構造化し効率化の仕組みを検討する。
  • 効率化の仕組みに合った手段を選定する。

今回ご紹介した文書作成の効率化はひとつの例にすぎません。
効率化したいポイントによって仕組みや手段は変わってくると思いますので、参考にしてみてください。