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継続受注に向けた交渉を円滑に進めるには

PJ活動お役立ちコラム
第192回 2024年10月1日
継続受注に向けた交渉を円滑に進めるには

筆者は現在、開発プロジェクトにおけるSSC(シェアードサービスセンター)で業務支援を行っているグループに所属しています。これまで数多くのプロジェクトに関与してきましたが、その中で継続受注を実現するための交渉の難しさに何度も直面しました。特に、クライアントが抱える課題に対して、勝手な推測や憶測に基づいて机上で判断し、その結果、期待に沿わない提案をしてしまうことがありました。
継続的な受注を実現するには、クライアントが抱える課題の本質を深く理解し、お互いの利害が対立しない「Win-Winの案」を模索し、交渉していくことが重要です。本コラムでは、その具体的方法をご紹介します。

筆者のグループへの依頼要件として、「リソース不足の解消」を挙げるケースがあります。その背景として、生産性向上、品質改善、コスト削減などが様々な理由が考えられますが、これらクライアントが求める要件の本質をつかむことが重要です。

要件の本質を把握する

要件の本質を深掘りする際、直接業務に関わる依頼者の要求に偏りがちですが、発注権限者の視点では要件の本質が異なる場合があります。両者の視点をバランスよく取り入れることで、現実的かつ受け入れられる交渉が可能になります。

  1. 要件の本質について仮説を立てる
    相手の立場や考えによってリソース不足を解消したい理由やその具体的な原因は異なります。まずは、その原因を多角的な視点で考えることが重要です。また、マインドマップやフローチャートを用いて現状分析することで、真の要件について仮説を立てます。
  2. 現場に行き、現実に触れる
    デスク上で考えるだけでは限界があります。現場に足を運び、実際の状況を目の当たりにすることで、クライアントが直面している課題を確認します。
  3. 要件の本質(根本原因)を洗い出す「なぜ」を繰り返して問題を深掘りする手法は非常に効果的です。例えば、なぜリソースが不足しているのか?その答えが得られたら、さらに「なぜ」その答えが問題なのか?と掘り下げていきます。

双方が納得できる交渉を進める

要件を理解した上で、次に重要なのはサービス品質の目標値(例えば、稼働時間や応答時間)において、双方が納得できる交渉をどう行うかという点です。多くの交渉で、Win-Lose型、つまり一方が勝ち、もう一方が譲歩する形になりがちです。しかし、これでは長期的な信頼や協力関係が損なわれる恐れがあります。双方が利益を得るWin-Win型の交渉を目指すためには以下の方法を取り入れることが効果的です。

  1. 定期的な課題収集、情報交換
    交渉は一度で終わるものではなく、定期的なコミュニケーションが不可欠です。現状の課題や進捗、次に目指すべき姿とその対策について意見交換することで、双方が同じ目標に向かって進んでいるという意識を持つことができます。
  2. 利害が合わない場合、妥協案を探す
    交渉においてすべての要望を一度に満たすことは難しいですが、お互いが譲歩する姿勢を示し、その妥協点を見つけていくことが重要です。同じ目標に向けて双方が少しずつ譲ることで、現実的かつ受け入れられる解決策が見つけます。
  3. 発注権限者の評価ポイントをベースに成果報告を行う
    結果の報告や合意形成においては、発注権限者がどのような評価ポイントを重視しているかを理解し、それに基づいて成果と課題、今後の対策をまとめ報告することが大切です。これにより継続発注の合意を得やすくなります。

終わりに

交渉を円滑に進めるために最も重要なのは、日々変化する相手の真のニーズや懸念を正確に把握し、その上でお互いが満足できる「Win-Winの案」を模索する姿勢です。これには時間と労力がかかりますが、その結果としてクライアントとの信頼関係が深まり、継続受注の実現にもつながります。クライアントとの関係性を大切にし、その上で問題の本質を理解し、双方が満足できる解決策を見つけていきましょう。

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