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開発プロジェクトにおける「要求」と「要件」の違いとは?
PJ活動お役立ちコラム
第191回 2024年9月24日
開発プロジェクトにおける「要求」と「要件」の違いとは?

はじめに
開発プロジェクトにおいて、「要求」と「要件」という言葉を耳にすることが多いかと思います。みなさんは、この二つの言葉は似たような意味に感じられるかもしれませんが、開発プロジェクトを成功に導くためには、これらの言葉の違いを正確に理解することが重要だと考えます。今回は、「要求」と「要件」の違いについて筆者の考えを説明してみたいと思います。
「要求」と「要件」の違いとは?
まず、要求と要件の違いについて、考えてみたいと思います。
要求とは、ユーザやステークホルダーがシステムやプロジェクトに対して望む機能や性能のことです。例えば、お店で新しい顧客管理システムを開発するとした場合、営業部門から「顧客情報を簡単に検索できる機能が欲しい」という要求が出されたとします。このように、要求はユーザが抱える問題やニーズを解決するための要望を示しています。要求は非常に抽象的で、具体的な技術的詳細や仕様についてはまだ考慮されていません。この段階では、ユーザがどのような問題を抱えていて、それをどのように解決したいかという点に焦点があてられています。
次に要件についてですが、要求を実現するために必要な具体的な条件や仕様のことです。要求の例で言うと、「顧客情報を簡単に検索できる機能」を実現するために、「顧客名や電話番号、メールアドレスで検索ができるインターフェースを設ける」、「検索結果は1.0秒以内に表示される」といった具体的な設計や、技術的な仕様が要件となります。要件は、プロジェクトチームが実際に開発を行うための詳細なガイドラインとなりますので、開発者は何を作るべきかを正確に理解することができます。要件が明確であればあるほど、プロジェクトの進行はスムーズになります。
「要求」と「要件」の違いを理解しユーザ満足度を向上
要求と要件の違いを明確に理解することが重要なのは、プロジェクトの進行を円滑にするためだと考えます。要求と要件の違いを区別せず、具体的な要件に落とし込むことが不十分な状態で開発を進めてしまうと、開発途中で「こんな機能は求めていない」、「思っていたものと違う」といった問題が発生してしまい、最悪開発がやり直しになる事態を引き起こします。また、ユーザが「システムが使いやすいこと」を要求したとき、それを具体的な要件に変換しなければ、開発者はどのようにシステムを設計するべきか分かりません。具体的な要件がないと、開発者は自分の解釈でシステムを設計してしまう可能性が高くなり、結果的にユーザの期待に応えられないシステムが出来上がることもあります。
例えば、ある企業が新しいプロジェクト管理ツールを開発することを決めたとします。プロジェクトマネージャーからの要求は「タスク管理が簡単にできるシステムが欲しい」というものだとします。この要求を具体的な要件に変換するために、プロジェクトチームは「タスクの追加・編集・削除機能」、「タスクの優先度設定機能」、「タスクの進捗状況の見える化機能」などの要件を設定します。これにより、開発者は具体的な作業項目をイメージすることができ、ユーザの期待に応えるシステムを提供することができます。
また、要求と要件の違いを理解することは、コミュニケーションの質を向上させるためにも重要です。プロジェクトチーム内のコミュニケーションが円滑であれば、要求が誤解されることなく、正確に要件に変換することができます。これにより、開発プロセス全体が効率化されるとともに、ユーザの満足度も向上します。
さいごに
今回は、「要求」と「要件」の違いについて、筆者の考えをご紹介しました。
開発プロジェクトにおいて、要求と要件の違いを理解することは重要だと筆者は考えます。要求はユーザやステークホルダーの期待や希望を反映したものであり、要件はそれを実現するための具体的な指針です。この違いを正確に理解し、プロジェクトの初期段階から丁寧に要求を要件に変換することで、プロジェクトの成功率を高めることができるはずです。
筆者の考えが皆さまの活動のご参考になれば幸いです。
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