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その数字の背景には何がある?

PJ活動お役立ちコラム
第174回 2024年5月21日
その数字の背景には何がある?

みなさんは普段どのような数字をよく目にしますか?仕事では、売上管理や定量目標設定、進捗管理などで数字を見る方もいるでしょう。また、プライベートでは、ニュースで「前年比2倍」、ショッピングの広告で「販売数No.1」など、日常生活でも何気なく数字に触れる機会が多いと思います。しかし、それらの数字を見たときに、その背景には何があるのかと気になったことはありませんか? 
今回のコラムでは、数字を見るときの注意点について、お話ししたいと思います。

注意点1:実績データにおける数字

まず、実績データにおける数字についてです。データが正しくても、数字の提示のされかたによって、私たちが抱く印象が大きく変わります。このことを意識して、数字を鵜呑みしないように気をつける必要があります。

例えば、フィットネスジムAの広告に「地域会員数No.1」という文言があったとしましょう。多くの人が「このジムは、会員数が多くて人気があるのだろう」と感じるかもしれません。しかし、その数字の背景は、どのようになっているのでしょうか?以下は、極端な例ですが、「地域会員数No.1」の背景を見てみましょう。

地域を「市内」とするとジムAより会員数の多いジムBが存在する。
地域を「町内」で絞り込むとジムA以外のジムがないため、ジムAが「地域会員数No.1」になる。

このように地域を限定する以外にも、期間(2024年5月)や属性(20代女性)などの絞り込みによって、「会員数No.1」となることがあります。

ジムの広告に「地域で大人気」もしくは「地域会員数No.1」の表記がある場合、後者のほうが「No.1」という一見具体的な数字があることで訴求力が高いように感じます。また、数字がある場合は、選択する数字次第で印象も大きく変わります。誇大表現は法律で規制されていて、数字の条件が記載されていることも多いですが、数字を見るときには注意しましょう。

注意点2:アンケート結果の数字

つぎは、アンケート結果の数字についてです。アンケートの結果を見るときも注意が必要です。アンケートでは、質問内容や対象者をきちんと設計しないと、結果が偏ってしまうことがあります。
例えば、古着の売買をしている会社のアンケートで「古着を購入したい人が多い」という結果を収集したいとします。その場合は、以下のどちらの質問が、「Yes」と回答する人が多くなるでしょうか?
① 古着を購入したいですか?
② 古着(未使用のタグ付きも含む)を購入したいですか?
この場合は、②の方が「Yes」と回答する人が多くなる傾向があります。「古着」のイメージは、人によって異なります。「価値のある服が手に入る」「リサイクルになる」などとイメージする方もいれば、状態の悪い古着をイメージする方もいるでしょう。後者のイメージを持つ方は、①だと「No」を選択する可能性がありますが、②のように「未使用品も含む」の条件を追加すると、肯定的な「Yes」の回答を得やすくなります。よって「古着を購入したい人が多い」という結果が収集しやすくなります。このようにアンケートでは、質問内容によって結果が変化する可能性があります。

最後に

数字を見るときは、その背景に何があるのかを見極める力が必要です。
昨今、データドリブンという言葉をよく耳にするようになりました。データから数字を見るシーンでは、データの信憑性や数字の背景を考えて、正しく見極める必要があります。逆に、誰かに数字を提示するシーンでは、目的に応じて適切な方法で提示する必要があります。数字の見せ方を工夫するときには、誤った印象を与えないように心掛けましょう。
数字の見方・見せ方については、筆者もまだ勉強中なので、もっと情報収集をして理解を深めたいと思います。今回の内容が皆さんの活動に少しでもお役に立ちましたら幸いです。