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「違和感」を大切に

PJ活動お役立ちコラム
第172回 2024年3月26日
「違和感」を大切に

これまでの業務の中で、「違和感」を覚えた経験をお持ちの方はたくさんいらっしゃると思います。違和感は感覚的なもので、具体例に「コレ」と言い表せないもどかしさがありますよね。
ところで皆さんは、その違和感を周囲のメンバーに伝えた経験をお持ちでしょうか?
「こんなことを言っても伝わらないな」と、口をつぐんでしまったことも多いのではないでしょうか。
他愛のない会話であれば「よく分からないけど、しっくり来ないなぁ」と簡単に口に出せますが、業務上の話だとすると、そう簡単にいかないのではないでしょうか。
今回のコラムでは、筆者が以前に業務上で覚えた違和感についてお伝えしたいと思います。

なんとなく覚えた違和感

ある業務の進め方について、社内の関係者で打ち合わせをしていたときのことです。同様の業務経験を多く持つメンバーから、「前に対応した●●のときと同じ手順で進めればよいのでないか」との提案がありました。
メンバー皆がその提案に賛成し、具体的な議論に進んだのですが、そのうちにだんだんと、何とも言えない「もやもや」を筆者は感じるようになりました。打ち合わせもほぼ終了というタイミングになっても、その「もやもや」は消えませんでした。
ただ、「もやもや」の理由が自分でもよく分からず、また終了に向かいつつある場の雰囲気を壊すことを恐れ、結局何も発言しませんでした。

違和感を放置した結果

その業務は計画どおりに進み、工程のほぼ7割が完了したというところで、ある問題が発覚しました。それは、本来考慮されるべき内容が検討から漏れており、作業に反映されていないというものでした。
過去の業務に倣って立てた計画でしたが、実は、いくつか条件が異なっているものがありました。計画時点ではその違いの重要性に気づいておらず、作業がある程度進んだ今になって、対応が必要だったことに気づいたのでした。
必要な対応について検討した結果、工程の5割ほどのところからやり直しとなり、納期も費用も計画当初の2割オーバーとなってしまいましたが、なんとか業務を完了することができました。

違和感を大切に

このような経験から筆者は、『違和感とは、その時点では理由などを明確に説明できないが、自身のこれまでの経験や価値観から来る「警鐘」のようなもの』と考えるようにしています。
もし先の打ち合わせで筆者が覚えた違和感を口に出していたら、どうなっていたのでしょうか。「たられば」かもしれませんが、重要なことであれば皆での議論や検討に進展したでしょうし、些細なことであればその場ですぐに解決したように思います。
もし「違和感」が、将来起こるかもしれない問題を回避するための呼び水になるのだとしたら、できるだけ口に出し、周囲に伝えた方がよいのではないでしょうか。

周囲との関係も大切に

「違和感」をできるだけ周囲に伝えた方がよいとはお伝えしましたが、それにはお互いがお互いを受け入れ尊重し合える、心理的安全性が確保されている環境が必要です。心理的安全性が確保されているからこそ、気軽に「違和感」を口に出すことができ、また周囲のメンバーもそれを受け入れることができるのだと思います。
そのような環境は、一朝一夕でできるものではありません。周囲との良好な人間関係を構築できるよう、日ごろから自分の行動には注意を払っておきたいものです。

さいごに

心理的安全性が確保された、メンバー皆が「違和感」を気軽に口に出せる環境なら、きっと業務もスムーズに気持ちよく進められるのではないでしょうか。そんな職場になるよう、「違和感」や「周囲との関係」を大切にする雰囲気作りに努めたいものですね。
今回の内容が、皆さんの活動に少しでもお役に立ちましたら幸いです。