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相談する際の「急がば回れ」
PJ活動お役立ちコラム
第138回 2023年7月18日
相談する際の「急がば回れ」

自分の経験や知識だけでは解決が難しいと思ったとき、皆さんはどのようにされていますでしょうか?
インターネット等で調べるというのもひとつの方法ですが、身近なメンバーや社内の有識者に相談することも、解決につながるヒントを得るための有効な手段であると筆者は考えます。
とはいえ、相談したいことの本質を相手にうまく伝えられないと、
・的外れな回答が返ってきてしまう
・相談を受ける相手を困らせてしまう
といった事態を招きかねません。
あるいは、ご自身が相談を受ける立場で、そういった場面に遭遇したことがあるかもしれません。
実は筆者自身も、社内の有識者に相談した際に、緊張と焦りから筋道を立てて伝えることができず、「結局、何が課題なのか?」と逆に質問されてしまったという苦い経験があります。
ただやみくもに相談しても、期待した結果を得ることはできないのです。
そこで、今回のコラムでは、筆者のこれまでの経験をもとに、相談をする際には「急がば回れ」の気持ちで準備をしっかり行うことの重要さをお話したいと思います。
相談前の準備
では、相談者が相談を受ける相手へ正しく本質を伝え、コミュニケーションの齟齬が発生しないようにするために、相談前にどのような準備をしておくべきでしょうか。
筆者自身の過去の反省を踏まえ、相談をする前の準備として心掛けているポイントを3つご紹介したいと思います。
-
目的を明確にする
まず、相談の目的やゴールを明確にすることが重要です。
・相談の目的は何か(解決に向けてアドバイスが欲しい、リソースの調整をお願いしたい等)
・どのような状態になると「解決した」といえるのか
といった大枠を事前に整理しておくことで、相談を受ける相手にも伝えやすくなります。 -
背景や文脈、経緯を整理する
相談をする前に、その背景や文脈、経緯を整理することも必要です。
・その課題がどのような状況で生じたのか
・現在はどのような状況なのか
といった情報を整理することで、相談を受ける相手にも意図が伝わりやすくなります。 -
相談の内容を具体的にする
相談内容が抽象的な場合、的確な回答やアドバイスを得ることが難しくなる可能性があります。相談の範囲を狭めたり、トピックを分割したり、具体的な事例を挙げたりすることで、相談を受ける相手が課題を理解することで生じる負荷を軽減し、本質的な解決にたどり着きやすくなります。
相談に先立って、こうした3つのポイントを整理しておくことで、以下の効果が期待されます。
・落ち着いて必要な情報を漏れなく伝えることができる
・建設的なディスカッションができるようになる
相談内容は「データ化する」「蓄積する」「シェアする」ことで組織のナレッジに
相談内容をより伝えやすくするためには、整理してきたことをテキストに起こし、画面に投影するなどして相談を受ける相手と共有しながらコミュニケーションを図ることをおすすめします。
また、
・相談から解決に至るやり取りそのものをナレッジとして再利用できる
という点においても、相談内容はテキストに起こし、さらに蓄積・シェアできる仕組みを用意しておくとよいでしょう。
筆者も「過去に、類似した背景・類似した課題に直面して、すでに解決にたどり着いた人がいないか」社内のコミュニティなどを検索することがあります。このとき、上記でご紹介したポイントが整理されて蓄積されていると、ヒット率が上がり、解決策を自分の課題に再利用できるか判断する際、大いに役に立つと感じます。相談内容をデータ化して「蓄積する」「シェアする」ことは、“将来の誰か”のコミュニケーションコストを削減することにもつながります。
相談相手が「人」とは限らない
最近では、生成AI技術の目覚ましい発展・浸透によって「人ではなく、AIのチャットボットに相談をする」というシーンも増えてきました。こうした技術を使うシーンにおいても、精度の高い回答を得るためには、同じような準備が必要だと感じます。
特に、3つ目のポイントとして挙げた「相談の内容を具体的にする」で述べたことに加え、
・「あなたは〇〇を利用する優秀なエンジニアです。」
・「プロジェクトに参画したばかりのメンバーにも伝わるよう、わかりやすく箇条書きを使って説明してください。」
といった、前提条件や設定を付加することで、より期待する回答を引き出しやすくなります。
さいごに
誰かに相談したい課題や困難に直面しているときは、つい焦ってしまいますが、そんなときこそ「急がば回れ」。ご紹介したようなポイントを押さえて情報を整理し、相談に臨むことが、解決に向けた近道になると思います。
今回のコラムが皆さんの活動のご参考になりましたら幸いです。