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似ているようで似てない、議事録と議事メモ

PJ活動お役立ちコラム
第130回 2023年5月23日
似ているようで似てない、議事録と議事メモ

議事録と議事メモ、言葉こそ似ていますが実は異なる特徴があり、それぞれの役割を理解し適切に使い分けることがとても重要だと考えています。
プロジェクトの成功に必要不可欠な議事録と議事メモについて、筆者の考えや経験を踏まえ、その違いについてお話ししたいと思います。

議事録とは?

一般的に議事録とは、以下のようなものであると考えます。

  • 会社やプロジェクトごとの指定フォーマットがあり、資料として整形されている
  • 会議の開催日時、出席者、議題、議事進行、アクションアイテムなどが記載されている
  • 開発プロジェクトの成果物のひとつとなる場合がある
  • 会議の参加者以外にも、会議の内容を共有する目的がある

議事録は、会議での意見や決定事項など、会議全体を記録する文書です。文書としての体裁が整っており、会議の内容が細かく記録されているため、会議後でも会議の内容を簡単に確認できます。発言者を含めた会議の流れが明確に記録されているため、意思決定のプロセスを正確に把握でき、また問題が発生した際にはその責任の所在を明確にできます。プロジェクトの進行管理や問題解決のための、重要な資料となります。

議事メモとは?

一方、議事メモとは以下のようなものであると考えます。

  • フリーフォーマットである
  • 会議の内容を個人的にまとめたメモであり、すべての内容を記録しているわけではない
    (後で見返すための手掛かりとして活用)
  • メモを取った本人や、会議参加者への必要最低限の共有を目的としている

議事メモは、議事録と同様に会議や打ち合わせの内容を記録する文書ではありますが、議事録よりも簡潔なノートのようなものだと考えます。すべての内容を記録しているわけではなく、あくまで個人のメモであるため、必要最低限の内容が自由書式で記録されています。
作成に時間がかからず、会議の内容を参加者間で即座に共有できるため、小さなグループ内での会議や打ち合わせの情報共有に向いています。

議事録と議事メモの違い

開発プロジェクトにおいて、議事録と議事メモはどちらも会議の内容を記録するための重要なツールですが、これまでにお伝えしてきました通り、それぞれに違いがあります。

議事録は会議の全体像を記録することを目的としていて、長期的な視点で見た場合に必要な情報を記録することが多く、会議の決定事項やアクションアイテムなど重要な情報を含みます。このため、プロジェクトマネージャーや、プロジェクトリーダなどが参照し、必要に応じて改善や調整を行うための重要な資料となります。会議の出席者全員が内容を認識し、理解することを目的として記録するため、プロジェクト全体を俯瞰した立場で記録する必要があります。そのため多岐にわたる情報が含まれる可能性があり、記録や発行の負荷が高くなり、また文書の枚数も多くなることがあります。

一方、議事メモは会議の中で行われた主な議題や意見、決定事項などを作成者個人の感覚に基づいてまとめます。参加者が重要だと思った内容を記録することが主な目的のため、内容が個人的な記録になり参加者や関係者が自身の覚え書きや作業の進捗の確認などに利用することが目的となります。個人的な記録であるため、必要な情報で内容を絞り込んで手軽にまとめることができます。

筆者はこれまでの経験から、議事録と議事メモを以下のように使い分けると良いと考えています。

  • 議事録は社外発信用。関係者が多い、上位へ発信、議論の流れが分かる、正式な記録
  • 議事メモは社内発信用。関係者が少ない、早期発行が求められる、個人的なメモ

さいごに

開発プロジェクトにおいては議事録が主に利用されますが、一方で作業の進捗報告や作業計画の策定などにおいては議事メモが重要な役割を果たします。会社の方針やプロジェクトによっても議事録や議事メモの扱いが異なると思いますが、両者の違いを認識し、目的に合った運用をされると良いのではないでしょうか。
なお今回のテーマである議事録や議事メモ作成ですが、人工知能の進化により、発言をテキストに変換し自動で要約や整理を行うといったことが、当たり前になるかもしれません。今後は会議の進行や、ファシリテーションの質を上げることが重要になってくるかもしれないですね。

今回の内容が皆さんの活動に少しでもお役に立ちましたら幸いです。