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コミュニケーションコストについて考える
PJ活動お役立ちコラム
第128回 2023年5月9日
コミュニケーションコストについて考える

コミュニケーションコストとは、「情報伝達・意思疎通にかかる時間や労力」のことになります。プロジェクトだけではなく組織や事業を動かしていくためには、いかにチーム(組織)を機能させるかが重要となり、メンバとのコミュニケーションは必要不可欠です。
目には見えづらいですが、そのコミュニケーションにもコストが発生しているということを、改めて考えてみたいと思います。
“発信者が発信した内容を、受け手が正しく理解をする”と、文字にすると至極当たり前のように感じてしまいますが、この難しさは今までの経験で痛感しており、関係者が増えれば増えるほどその難易度は上がります。気付くと問合せ対応や調整業務だけで、1日の大半が費やされていることもしばしば。
また“伝達したつもりが伝わっていない“という状況は、皆さんも一度はご経験があるのではないでしょうか。時間と労力を使って伝えたことが0リセットされているときのガックリ感と言ったら・・・
コミュニケーションコストが高いとは
情報伝達・意思疎通に長い時間を要する状態を言います。逆に短ければコミュニケーションコストは低いとなります。
「コミュニケーション」とは、相手に何らかのアクションを促したり、認識を持ってもらうなどを目的として行うものですが、コミュニケーションは「双方向のものである」ということを忘れてはいけません。相手への伝達だけでなく“相手からの情報を正確に受け取る”という観点も必要です。発信者と受け手、両方の能力が必要となるわけです。
そしてコミュニケーションコストが高い状態だと、以下のような悪影響があると考えられます。
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業務効率の低下
本来進めるべき生産的業務(作業)以外に時間が奪われる -
業務連携のロス
組織間やチーム内連携に無駄が生じる -
意思決定のスピード低下
現状把握・問題把握に時間がかかり最終的な意思決定スピードが遅くなる -
メンバの疲労
時間や労力だけでなく、精神面の疲労にも影響する
コミュニケーションコストを削減するには
さて、本題です。どうしたら削減できるのか。個人の問題の場合と組織の問題の場合がありますが、何とかしたいですね。筆者は大きく3つあると思いました。
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立場や役割を明確化(理解)する
前提がずれてしまっていると、コミュニケーションコストはどうしても高くなります。「そういうつもりでアサインされていない」「うちのチームのスコープ外」となってしまうと、ここからの平行線はなかなか厳しいですね。
また、伝達したが正しく伝わっていない場合、受け手側の処理能力や読解力に問題があるなどの要因もありますので、相手の立場を理解した伝え方の工夫も必要になります。 -
仕組み作りをする
筆者がPMOという役割からコミュニケーション管理の重要性は理解していますが、やはり情報が錯綜することはあります。メールなのかツールなのかチャットなのか、チャットのどこのチャネルだったかなど。またルールを作ってもそれ通り運用されないと、情報収集に時間がかかり、都度ルールを再通知するというプラスの工数も発生します。現場の状況に合わせた運用改善に、より力を入れる必要性を改めて感じました。
また、FAQやナレッジの整備、教育面の強化(オリエン実施など)も有効です。 -
個人の意識改善
ヒアリングを意識し5W1Hで物事を考える習慣を持つことや、自分の情報処理能力を理解することもコミュニケーションコスト削減につながります。目で見て理解するタイプか、口頭説明を耳で理解するタイプなのかなど。相手の話を遮り自分の話をしたがってしまう人は、その目的達成のために最短で向かう方法を改めて意識してみると良いです。
コストはどこにでも発生している
1人で仕事をしていない以上、何か事を進めるためには会議や打合せ、調整業務などが必ず発生します。その一つ一つをより生産性の高いものにし、日常的なコミュニケーションの質を上げていくことで、無駄なコストを削減したいですね。
特にコミュニケーションはできるだけオープンにする(個別チャットばかりにしない)ことも、情報連携の観点では重要です。
さいごに
PMOという職種には情報整理能力も必要です。様々な情報を整理し咀嚼し、プロジェクトマネージャやリーダが素早く意思決定を行えるよう、わかり易く情報を連携する。そのためにも改めて「コミュニケーションコスト」について考え、プロジェクト全体がより高いパフォーマンスを発揮できるよう微力ながら尽力したいと思いました。
今回の内容が皆さんの活動に少しでもお役に立ちましたら幸いです。