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業務引き継ぎに備える

PJ活動お役立ちコラム
第125回 2023年4月18日
業務引き継ぎに備える

4月になって、それまで対応していた業務を他のメンバーに引き継いだり、逆に引き継ぎを受けたりしている方も多いのではないでしょうか。筆者も入社以来、大なり小なり幾多の業務を引き継いできました。
しかし、長年同じ業務だけ続けているとか、勤続年数が短いため引き継ぎに慣れていない場合もあるかと思います。もしくは、引き継ぐ業務が複雑であったり、引き継ぐ時間そのものが足りないなどの理由で、苦労されている方もいらっしゃるかと思います。
今回のコラムでは特にそういった方々が参考になるよう、筆者の経験も踏まえた業務引き継ぎ方法について取り上げたいと思います。

なぜ引き継ぎをする

まず具体的な引き継ぎ方法について取り上げる前に、引き継ぎの重要性について考えたいと思います。
引き継ぎをする理由・背景やタイミングは様々かと思います。例えば異動や退職、あるいは昇格などで対応する業務が変わることもあります。そんな中、後任者はこれまでとはまったく異なる業務を引き継ぐことも多いかと思いますが、単純に手順を覚えれば良いというわけではなく以下が重要となります。

  • 生産性の維持
    前任者が対応してきた業務は、それまでに培ってきたコツやポイントなどの上に成り立っています。そのような多くのノウハウを継承する意味でも引き継ぎが重要なのは言わずもがなかと思います。
  • 信頼性の維持
    前述した生産性の維持にも繋がりますが、例えばお客様対応の業務で担当者が変わった場合、その対応方法や対応速度が異なっていると、信頼を損ねることに繋がります。

まずはこのようなことを前任者、後任者ともに意識して引き継ぎを進めると良いのではないでしょうか。

引き継ぎ方法

ではあらためて引き継ぎ方法について整理したいと思います。
まずは対象業務を整理し、続いて引き継ぎ資料を作成、そして最後にその資料を元に後任者に業務内容を説明、といった順で進めると良いです。
各ステップでのポイントを整理しましたので、皆さんにご紹介します。

業務の整理

後任者がこれから対応すべき業務の量を把握する意味でも、前任者は、業務量や、必要工数、作業頻度、作業期間など事前に整理しておくと良いでしょう。特に抱えている大部分の業務を後任者に引き継ぐようなときは、それら業務をまとめて整理することで抜け漏れ防止にもなるかと思います。

引き継ぎ資料の整理

前任者は引き継ぐ業務範囲を整理したら、その全体像を後任者が理解できるよう、以下の様な内容を資料にまとめておくと良いでしょう。

  • 引き継ぎ業務の目的
    引き継ぐ業務の位置づけと共に目的を明確にします。
    例えば、あるPJの中の一部の業務を引き継ぐとき、何のためのPJで、その中のどんな役割の業務なのか、体制を含めた全体像と共に示すと良いかと思います。
  • 業務フロー
    引き継ぐ業務の流れを明示します。
    作業のスタートからゴールをフロー図で表すと良いでしょう。
  • 業務手順
    業務手順書など、いわゆる業務マニュアル類は多くの場合、すでに用意されているかと思いますので、その資料の保管場所や保管ルールを明記します。
    もし、それらが整備されていない場合は日頃の中で事前に用意しておくと良いでしょう。
  • 課題や解決策
    引き継ぎ上の課題や解決済み課題の対処法なども整理しておくと良いかもしれません。
    同じような課題に直面したときに役立つかと思います。

引き継ぎとフォロー

作成した引き継ぎ資料を使って、まずは後任者に、何のために何をゴールに対応するのか理解してもらうよう全体像を説明します。
具体的な作業方法については、作業手順書を参考に後任者に作業してもらいますが、手順が複雑だったり間違いを起こしやすかったりするような作業はOJT形式でお互い確認しながら進めると良いでしょう。
特に工程が複雑だったり長い期間にわたった作業だったりする場合は、何度かに分けて後任者をサポートすると良いかと思います。

引き継ぎができない?

ここまで、業務引き継ぎについて整理してみました。もちろん他にも伝えるべきことなどあるかと思いますが、大きな流れとして理解いただければと思います。

しかし、実際にはこの通りに引き継ぎができないケースもあるかと思います。
例えばですが、年に1日だけのイベント開催のPJがあったとします。その主要なメンバーが次年度のPJ開始前に退職し、急遽別のメンバーが後任者としてアサインされたとします。後任者は前任者から話を聞きようにも連絡が取れず、前年の関係者にヒアリングしたり、過去の関係資料を探し回ったりと、余計な時間を取られることになりかねません。また、有益な記録が残っていない、もしくは探し出せないため、前年と同じ議論を繰り返したり、前年解決したはずの問題課題に再度直面したりするケースも考えられます。
このようなことが起こらないようにするには、PJ活動の一環として、積み上げた経験・記録を次回活動にすぐさま活かせるよう、活動の最後に整理するプロセスを組み込んでみるのも一つの手かと思います。

さいごに

今回は引き継ぎをテーマにその重要性や手順を見てきました。
現在、世の中では人手不足が叫ばれている中、退職者増などにより引き継ぎの機会も増えることも考えられます。その備えとして日頃から業務内容や手順の整理を常に意識して行動すると良いのではないでしょうか。
また、これら整理した情報・データを効率化や高度化のネタとして活用検討してみても良いかもしれません。

今回の内容が皆さんの活動に少しでも参考になりましたら幸いです。