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課題と経緯の整理
PJ活動お役立ちコラム
第116回 2023年2月14日
課題と経緯の整理

日頃の業務のやり取りで、皆さんはメールまたはコミュニケーションツールのチャット機能などを使っていることと思います。そのやりとりが何往復も繰り返された結果、あとから、「あれってどうなっていたっけ?」と、過去のメールやチャットを探して確認することがあるのではないでしょうか。
以前、筆者が関わった小さなPJ活動の中でも、このようなことがありましたので、今回はその対処法について取り上げたいと思います。
課題は何?
とある少人数が関わる小さなPJに、筆者は途中から関わることになりました。
このPJでは日常的にメンバー間でメールによるコミュニケーションをとったり、定例会議を開催したりしていました。
メールでは、活動していく中で見えてきた様々な問題課題やその対応方法についてやり取りし、定例会議でもメールでやりとりした問題課題についての議論が行われていました。
しかし、筆者が参加したときには、メンバー間で議論していた問題課題の対応が追いきれておらず、「あれってどうすることになっていたっけ?」と、関係する過去のメールや議事録などを探しては再確認を繰り返すような状況でした。
課題の管理
この状況が酷くならないように手を打とうと取り組んだのが、課題管理表の作成です。
大きなPJであればPJ管理ツール導入の選択肢もありますが、表計算ソフトで、課題の内容や重要度、対応方法、対応者、対応期限などを一覧化するようにしたのです。
このコラムの読者の皆さんは、何だそんなことか、と思われたのではないでしょうか。
このPJは少人数の小さなPJであり、さらには課題の管理に慣れていないメンバーが多かったこともあって、メールのやりとりで十分だろう、との判断で活動が進められていたのです。
しかし、このようなPJでも課題を整理してメンバー間で共有することで結果的に状況を追いやすくなりました。
さて、これで課題に対する抜け漏れを防ぐことは可能になり一安心と思いきや、またしても「あれってどうすることになっていたっけ?」の声が上がったのです。
一体どういうことか。
経緯は何?
あるメンバーAが課題管理表を見て、「他にも課題があったはずだけど、何で記載していないの?」と発言しました。
また、メンバーBからは、「ここに記載されている課題〇〇の対応方法はこれで良かったのだっけ?」との声が上がりました。
たしかに課題管理表には、議論したはずの課題や対応方法の一部が記載されておらず、なぜそのようになったのか、誰もその場で思い出せず答えられませんでした。
このため、メンバーAの指摘をあらためて過去のメールや議事録などで確認したところ、一度課題管理表に記載したものの、優先順位の関係で対応不要と判断されたため、削除していたことが分かりました。
メンバーBの指摘についても、課題に対する対応方法として2案検討され、議論の結果、一方の案が採用されたのですが、その経緯までは記載されていませんでした。
経緯の記録
課題の管理としては問題ないのですが、このままでは、今後も経緯を思い出すための時間や手間が発生するだけでなく、同じような課題が持ち上がったときに、同じような議論を繰り返すことにもなりかねません。
そこで、取り下げた課題とその理由や、対応方法として検討した経緯も整理し記録として残すことにしました。実際に1年後、類似PJの活動時に、このときの記録が大いに役立ったのです。
今回はとある小さなPJの例を通して、課題と経緯の整理についてご紹介しましたが、日頃の業務では、今回のように課題管理表の作成や経緯を整理せずとも、問題なく進められるものは多いのではないでしょうか。
しかしその業務を第三者に引き継いだり、業務を拡大することになったとき、過去の行動や判断の記録が、ヒントや参考として役立つかと思います。
また、このような人による判断の記録(データ)の蓄積が、将来的に高度化実現のネタとして活用できるかもしれません。
今回の内容が皆さんの活動に少しでも参考になりましたら幸いです。