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やさしさは罪

PJ活動お役立ちコラム
第114回 2023年1月31日
やさしさは罪

「やさしさは罪だよ」
この言葉は、筆者が出向中に、お客様からの問い合わせをとりまとめている部門に所属していた方から聞いた言葉です。仕様に関して設計部門が良かれと個別対応したことが、結果的にお客様の利便性を損ない不便を強いることになり、かつ他のお客様にも影響が出かねない状況になった時の検討会議の最後に、戒めとしておっしゃったのです。
個別最適ではなく、全体最適であるべき方策を考えるようにと、それは至極真っ当なことであり当然のことではあるのですが、考え及ばないリスクを潰さないといけないのだなと…少し第三者の立場にいた筆者は思いました。一方、「やさしさは罪」という言葉は、かなり印象に残り、のちのちの自身の行動ルールのようなものにもなりました。ところが、分かっていても行動が伴わないことは間々あることで、筆者の失敗談を2つお伝えしたいと思います。

本業に注力!!

一つ目は、とあるチームのリーダーをしていた時のことです。
チームの業務プロセスはある程度固まっており、業務範囲を拡大するための施策を考え、パートナーを開拓したり、要員を増やしたりといった事務的な業務が続いたことがありました。
メンバーの本業に影響が出ないように、その事務的な業務を筆者が「本業注力率向上!」とばかりに一手に引き受けたのです。社内のルールなどを確認し、ミスや漏れのないように処理をしなければならないため、「こんなことにメンバーを煩わせられない」と意気込んでいましたっけ…

ところが、筆者が別のチームに異動することになり引き継ぎを始めた時でした。
同じ部署の他のメンバーなら当たり前にできている処理や知っている知識が圧倒的に足りていないことに気が付きました。本業ではない業務だとしても、業務に付随する必要なことであり、学んでおかなければいけないルールやプロセスはあります。それを知らない状態で業務としてやるように指示をしても、業務の目的や背景が分からないため、どこかでアクシデントに見舞われることが明白でした。

本業ではないからと安易に切り離すのではなく、先々どういう状態にチームがなっていなければならないかを考え、設計しなければいけなかったと反省しました。この時は、期間を定め、伴走時間を長めに取らせてもらい必要なインプットを行いフォローすることでカバーしましたが、業務の流れの中で進めるべき事項でした。

あなたには難しい仕事かも

二つ目は、メンバーのチャレンジの芽を摘んでしまったかもしれない時のことです。
メンバーが業務を進める中で、新しいツールの活用がよりお客様の業務プロセス改善に効果があるかもしれないと考えました。それをメンバーに伝えたところ、ツールの扱いについて知識がないので学ぶところから始めたいと意欲的な返事をもらいました。
他部門で先行してツールを使っていた人がいたので、その人にツール習得のプロセスなどを確認しました。
ところが、ヒアリングした方からツールは、簡単なところだけは使えるかもしれないけれど、より深く活用していくためには、相当な技術的な勉強が必要だと聞きました。メンバーの持つスキルセットにはない知識領域だったこともあり、「これはちょっと難しいかもしれない…」と諦め、メンバーにもその旨伝えてしまいました。

後から知ることになるのですが、ツールそのものは使い方の学習は必要なものの、技術的な深い勉強までは求めていなかったのです。メンバーに過剰な負荷をかけてしまうかもしれないと、あっさり諦めて別の方法の検討に走ってしまったことを後悔することとなりました。

配慮とやさしさをはき違えない

筆者の失敗談は、考え及ばないリスクというよりはずいぶん初歩的なミスにも思えますが、「やさしさは罪」を自身でやってしまったなと振り返ったことだったため、ご紹介しました。まだまだ完全ではないですが、仕事をする仲間に対して必要な配慮はすべきですが、「やさしさは罪」になるような思考や行動をしていないかは常に意識するようにしています。
今回の内容が皆さんの活動に少しでもお役に立ちましたら幸いです。