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重要度(影響度)と優先度(緊急度)を使い分ける
PJ活動お役立ちコラム
第99回 2022年10月18日
重要度(影響度)と優先度(緊急度)を使い分ける

ビジネスマンにとって急にたくさんの仕事を振られるときってありますよね。そのような場合、皆さんはどのように対応していますか?やみくもに仕事に取り掛からず、仕事の優先順位を付けて作業を進めていると思います。プロジェクトにおいても同じで、顕在化したリスクに対し、優先順位を付けて課題を解決していくため、「重要度(影響度)」と「優先度(緊急度)」が課題管理表の項目として記載されていれば、迷うことなく素早く行動に移すことができます。
「重要度(影響度)」も「優先度(緊急度)」も似たようなものじゃないの?という方もいると思います。今回は筆者が考える、課題管理表を作成する上で必要となる項目の「重要度(影響度)」と「優先度(緊急度)」についてご紹介したいと思います。
「重要度(影響度)」と「優先度(緊急度)」
プロジェクトを完遂するために計画と現状との差が「問題」で、その原因が「課題」になります。理想的なプロジェクトの進め方は、問題を的確に分析し課題を明確に管理しなければなりません。つまり課題管理とはプロジェクトを完遂するために、その過程で発生した解決すべき問題を把握して改善することになります。プロジェクトの規模によっては管理すべき課題が異なるため、「重要度(影響度)」や「優先度(緊急度)」を考慮することによって、適切な課題解決が可能となります。
また、優先度は、プロジェクトマネージャーが決めたり、あるいはチームで話し合って決めたりすると思います。筆者の場合、どちらの場合でも、優先度を決めるための軸として「重要度(影響度)」や「優先度(緊急度)」の二つを意識しています。
例えば、重要度と緊急度がどちらも高い課題の場合、議論の余地なく高い優先度となり、重要度と緊急度がどちらも低い課題であれば、場合によっては対応しなくてもよいかもしれません。また、重要度が高く緊急度が低い課題は、じっくり計画を立てて取り組む必要があり、重要度が低く緊急度が高い課題は、応急処置的な速度優先の対応が求められます。
重要度(影響度)
重要度(影響度)について考えてみましょう。
重要度(影響度)は課題を解決できなかったときの「影響の大きさ」だと考えます。影響の大きさを「大」「中」「小」の3段階で考え場合は、「大」と「小」を定義しその間は全て「中」考え、一要素でも「大」があれば「大」とし、全て「小」の場合のみ「小」とします。
QCD | 影響(大) | 影響(中) | 影響(小) |
---|---|---|---|
品質(Quality) | 納品できない | - | 影響なし |
費用(Cost) | 予算の変更(調整)が必要 | - | 追加費用発生なし |
納期(Delivery) | 顧客、社内との調整が必要 | - | 影響なし |
プロジェクトを円滑に進めるためには、重要度(影響度)が高い「大」の課題から順番に解決する必要があります。今すぐに対応しなければならないものが存在する一方で、重要度(影響度)が低い「小」の課題のように、今すぐにではなく、ある程度時間が経過してから対応しても問題ない課題を把握できます。
優先度(緊急度)
今度は、優先度(緊急度)について考えてみましょう。
優先度と似ている言葉に「優先順位」があります。優先度と優先順位は同じ意味に捉えられる場合がありますが、プロジェクト管理では異なる意味で使われます。優先度は、「高」「中」「低」のようにランク分けに指標化できる概念であり、優先順位は順番のことで明確な順列を示します。
筆者がいう優先度(緊急度)は、課題に対して着手する時期だと考えます。課題ごとに「高」「中」「低」の優先度を決めることで、優先度が一目でわかるようになり、高優先度の課題から順に取り掛かれます。
優先度(緊急度)を「高」「中」「低」の3段階で考えた場合は、以下のとおりになります。
- 高
予定されていたタスクを後ろにずらし、速やかに着手すべき課題 - 中
既存のタスクと同じ程度の優先度のため、予定タスクと調整して着手時期を決める課題 - 低
既存のタスクよりも優先順位を落とし、予定タスクの隙間や後回しで対応すればいいという課題
さいごに
「重要度(影響度)」と「優先度(緊急度)」を区別しないで使っている人もいると思いますが、プロジェクトを進める上では重要な項目になります。
「重要度(影響度)」は、プロジェクトに対していかに必要なタスクであるかを示します。重要度の高いタスクを欠いてしまうと、プロジェクトは先に進むことができません。
それに対して「優先度(緊急度)」は、いかにタスクの締切りが迫っているかで判断します。早急に対応すべきタスクほど緊急性が高いタスクです。
課題管理でこの考え方を導入するには、初めは慣れていない考え方に戸惑い、抵抗感が生まれるかもしれません。ですが、長期的に見て必ず「重要度(影響度)」と「優先度(緊急度)」を区別する考え方は役に立ちますので、検討してみてはどうでしょうか。
今回の内容が、皆さんの活動のご参考になりましたら幸いです。