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スケジュール化を逆算と積算で考える

PJ活動お役立ちコラム
第98回 2022年10月11日
スケジュール化を逆算と積算で考える

皆さんは、プロジェクトや日頃の業務で、あらかじめスケジュールを組んだものの、あとから想定外の作業が発生して、予定通りに進捗しなかったことがあるのではないでしょうか。今回のコラムでは過去の事例を取り上げながら、このようなケースの対処法について考えたいと思います。

逆算と積算

過去に携わったプロジェクトでの話です。活動を開始するにあたり、納期から逆算してタスクを並べ担当者を決めていくという手法でスケジュールを組みました。皆さんも納期を着実に守るためにスケジュールを逆算して組んでいることが多いかと思います。
しかしこのプロジェクトでは活動が進むにつれ、あとからやるべきことが多発し、時間も人も足りない状況に陥りました。このままでは納期を守れないという危機感がありましたが、あらためて、納期を意識せずに本当に必要なタスクや成果物などを洗い出してみることにしました。すると、スケジュールに落とし込んでいない様々なことが表面化したのです。これまでに発生した作業状況からすると、レビューの手戻りやバッファなども含めて追加設定したほうがよさそうなことも色々と分かってきましたが、ただでさえ日程がきつくなっている中で、これらを積算してスケジュールに組み込んでみると当然ながら納期を超過してしまいます。

しかし、やるべきことは見えました。あとは納期を守るために、これをあらためて逆算してスケジュールを詰めていきました。
たとえば、あらたな人のアサインによって他のタスクと並行して進められるもの、別の手段に置き換えられるもの、省略可能なものなどを整理の上、期間を圧縮してスケジュールを組み直したのです。それでも多少の想定外作業は発生しましたが、見直し前のように、その場しのぎとはならずにプロジェクトを予定通り完了させることができました。

今回の事例で分かったのは、納期に目が行き過ぎて、やるべきことの洗い出しが甘かったことでした。
そのため、ひとまずやるべきことを「積算」してスケジュールを組み、納期に合わせて「逆算」してスケジュールを組む直すことが有効な手段となったのです。

「逆算思考」と「積み上げ思考」

今回、スケジュールの作成で「逆算」と「積算」という言葉について触れましたが、このような言葉は仕事を進める際の考え方にもあります。これはそれぞれ「逆算思考」と「積み上げ思考」とも言われ、特徴としては以下となります。

  • 逆算思考
    設定した目標を達成するために、逆算で必要なタスクを洗い出してプロセスを設計し、その計画に沿ってアクションを実行する思考方法です。
    これは皆さんもお馴染みではないかと思います。
  • 積み上げ思考
    現在抱えている業務に対して、やるべきことを見極めて実行し、成果を出すという思考方法です。
    その時々の状況により、やるべきことや時間配分などを定めて、ひとつひとつこなしていく考え方です。

目標に向かって着実に進める「逆算思考」と、期限などを定めずにやるべきことを積み上げて進める「積み上げ思考」という、相反するような考え方ですが、置かれた状況や背景によって使い分けることで仕事の成果の最大化が期待できます。

そして、今回事例として取り上げたプロジェクトでは、スケジュール作成にそれぞれの特徴を取り入れつつ、成果を上げることに繋がりました。
納期に間に合わせるために逆算でスケジュール化することは基本的な考え方ですが、今回の事例のような悩みに陥ったとき、あらためて以下の手法を検討してみてはいかがでしょうか。

  • まずは期限を設けずにやるべきことを積み上げて(積算して)スケジュール化し、それを納期に間に合うよう逆算で見直す。

今回の内容が、少しでも皆さんの活動の参考になりましたら幸いです。